2020.09.07
2020.09.07
ジョブコーチ
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
ジョブコーチ(職場適応援助者)は、障害のある方が働く職場へ出向き、職場定着のための就業支援を行う専門家です。
誰もが自分らしく働ける社会の実現に向けて、障害のある方の就労を支える多様な制度が用意されています。その一つとして、障害者雇用促進法に基づき、2002年に「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業」が開始されました。
ジョブコーチになるには、高齢・障害・求職者雇用支援機構や、国が定める職場適応援助者養成研修を修了することが条件です。障害者職業センター、就労移行支援事業所などに所属するなどして活動しています。
障害のある方が企業で働く際に、その方と企業双方が同意した場合にジョブコーチが利用できます。企業または障害のある方、どちらが申し込んでもかまいませんが、多くの場合は企業の申し出を受けて始まります。
障害者職業センターから派遣される場合、1~8カ月の間で必要な期間、支援を受けることができます。最初は週3~4日間、職場で付き添い集中的に支援します。職場環境が整ってきたら週1~2日、その後は数週間に1度と回数を減らし、職場の人がサポートできるようにしていきます。
障害のある方に対しては「特性を踏まえた業務効率化や仕事の質を上げる工夫」や「職場内のコミュニケーションがうまくいく」ための助言などを行います。企業には「職場配置や職務内容の改善案」や「障害や疾患に応じた雇用管理の方法」などの提案や情報を提供します。
職場の上司や同僚との接点を阻むことなく、ジョブコーチ自身が企業や経営についてよく理解し、地域の社会資源を活用しながら障害のある方の自立を支援していくことが大切だと考えています。
障害のある方を自然な形で見守り、支えることのできる職場内の支援体制の構築(ナチュラルサポート)が最終目標です。
障害者職業総合センターの報告書によると、精神障害のある方が支援を受けた場合の12カ月の定着率は66・4%で、支援を受けていない場合よりも23・6ポイントも高くなっています。
現在のコロナ禍で、感染拡大防止の観点から訪問支援が難しい職場もあります。また、障害のある方の自立支援には、ご家族や利用できる社会資源など、周囲の環境について把握する必要があります。
今後、本人-職場-家族-支援者-その他関係機関とのネットワークづくりやオンラインを活用したスピード感のある介入が求められると感じています。
(就労移行支援事業所「LITALICOワークス」星原百合香、田中智人)