2022.08.01
2022.08.01
《 防災士 》
防災士という言葉を知っていますか?
阪神淡路大震災では、倒壊した家屋の下敷きになった人々の約8割を家族や近隣住民が救助したことで、災害時の民間力が注目されました。これを教訓に、住民一人一人が防災知識を身につけ、災害時には被害を最小限にくい止められるようにとできたのが、防災士の資格です。
普段は講座で学んだ知識を生かして、家具固定などの地震対策、豪雨などの際の避難計画やハザードマップの見方、気象情報の取り方、避難所運営訓練など、最新の防災対策の啓発を地域で行います。また災害直後には、救出救助、初期消火、避難誘導に当たります。被災後のボランティア活動や避難所開設にも携わります。
支援は全ての人が対象になります。普段の活動としては、日本防災士会京都府支部では昨年より京都府の事業として「水害等避難行動タイムライン」の作成支援を行っています。「いつ、どこへ、どのように」避難するかを定めておく計画で、京都府内1500カ所の自治会や自主防災会を対象として講師を派遣し、普及に努めています。また、避難所開設訓練や災害図上訓練の活動も地域の皆さんと行っています。
防災士資格は、日本防災士機構が行う講習を受けていただくと誰でも取得できます。自治体によっては助成制度がありますのでお問い合わせください。
2000年6月末で制度発足以来23万2696人の資格取得者がおりますが、日本防災士会の会員数としては1万人余りです。京都府内では6月末現在、1819人の資格取得者がおり、京都府防災士会への登録者は約70人です。
近年、地球温暖化の影響でますますひどくなる豪雨災害や地震の活発化を背景に、専門家としての防災士が注目を集め、地域防災のためになくてはならない存在と認識されています。市町村や自治会などから助成を受けて資格取得される方も多くなっています。
ただ、取得後はどのように活動したら良いか分からない人も多く見かけます。防災士の数を増やすだけでなく、行政には「防災コミュニティー」作りに防災士の積極的な活用を考えていただきたいと感じています。
講座は災害発生の仕組み、災害に関する情報、公的機関や企業等の災害対策、自助、共助、防災士制度の6章構成になっています。そのなかでハザードマップと避難、ライフラインの確保、避難所運営訓練など21講について2日間で学び、講義の最後に資格取得試験を実施します。講義で履修できない分については事前にリポートの提出を求められます。試験合格後に消防署などの普通救命講習の受講が義務づけられています。
(日本防災士会京都府支部事務局長 飯澤吉郎)