ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

子中心の地域づくりを

2023.05.01

  • ふくしナウ

《 こどもの権利 》

子どもが安心できる場や子どもの話をきくことの大切さを深めた「子どもの権利を学ぶ講座&ワークショップ」(23年2月)

 2022年6月、国会において「こども基本法」が制定され、23年4月から施行されました。人口減少社会、少子化の進行において、子ども施策を社会全体として包括的に推進することや、深刻化する貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など子どもをめぐる諸問題を国連・子どもの権利条約の精神にのっとって進めていくことが明記されました。また、そのための新たな司令塔として、こども家庭庁が創設されました。

 同法では、子どもの権利条約で掲げられている ①差別の禁止 ②子どもの最善の利益 ③生命、生存、及(および)発達に対する権利 ④子どもの意見の尊重―が基本理念に位置付けられました。これまで国連・子どもの権利委員会から子どもの権利に関する包括的な法律の制定を強く勧告されていたにもかかわらず、国は新しい立法措置は必要ないとしていたので、ようやく大切な一歩を踏み出したと評価することができます。これからは、子どもの権利を尊重する取り組みをいかに自治体や市民社会が拓(ひら)いていくかが問われていくことになります。

 京都市内には、地域の子ども食堂や学習支援の場などの居場所が約150カ所あり、子どもたちが安心して過ごせる居場所としてはもちろん、子どもが地域コミュニティーに参加できる機会になっています。京都市社会福祉協議会が昨年度実施した子どもの居場所づくりに関わる活動者インタビューからは、「子どもの空間」として遊ぶ、学ぶ、休む権利を守ることが大切であり、子どもの視点に立った居場所づくりの重要性が見いだされています。

 京都市から委託を受け、「子どもの居場所づくり『支援の輪』サポート事業」を実施していますが、この間、コロナ禍にあっても、すべての子どもが誰一人取り残されず、孤立しない社会を目指し、居場所の開設や継続支援、市民・企業等からの食材・物資等の寄付に関する情報発信やコーディネート、地域におけるゆるやかなネットワークづくりを積極的に進めてきました。

 これからも、同法の施行を追い風として、子どもの居場所づくりへの理解・共感を地域と一緒に創(つく)り出していくとともに、子どもたちにとってその場が自分の居場所と感じられるよう、子どもを中心とした地域コミュニティーづくりに取り組みます。

(京都市社会福祉協議会地域支援部)