ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

送迎時の3蜜防げ重宝/車いす対応、低床も便利

2021.09.20

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昨年度贈呈8団体、現場で活躍(21/09/20)

京都難病支援パッショーネは、車いす積載可能な軽自動車の「福祉号」を畑で栽培した収穫物の搬送にも利用している(8月20日、京都市山科区)=提供写真

 京都新聞社会福祉事業団は、京都府、滋賀県の福祉施設や団体に車両を贈る「福祉号」贈呈事業の最終年度の申請を受け付けている。2020年度は48団体から申請があり、府内6、県内2団体に車いすが積めるワゴン型普通車や軽自動車などを贈った。18年に亡くなった京都市内の女性からの遺贈寄付をもとに翌年度から3年計画で実施しており、現在、16台が福祉の現場で活用されている。

 前年度の贈呈団体は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減り、老朽車両の更新を望んでいた団体などで、感染リスク軽減のための利用者送迎、作業に必要な物品、製品の運搬などさまざまな場面で利用されている。

 同市右京区嵯峨に事務所兼作業場をおく「京都難病支援パッショーネ」は車いす積載可能な軽自動車を足の悪い利用者らの送迎に活用。同市山科区に借りる畑での農作業の道具や収穫物の搬送にも使う。指導員の高田貴浩さん(48)は「コロナ禍で『3密』を避けて在宅作業が増えたり、混み合う公共交通機関を避けたいケースも増えたので重宝している」と話す。総務部の佐野絵理香さん(40)は「電動車いすが、わずかなサイズの違いで載せられなかったこともあったが、手の力が弱い人でもドアの開閉が軽くでき、低床で乗り降りが楽など、使い勝手がいい」と福祉車両の利点を挙げる。

 同市中京区壬生の「実のなる樹」は、普通車を主に障害のある利用者の相談支援事業で使っている。北尾清代表理事(45)が同市全域をエリアに月70件ほどの相談支援を請け、これまで自転車で一日中駆け回っていた。コロナ禍で外出を避ける利用者も多く、自宅や関係機関などに足を運ぶことがさらに増えた。「福祉号がきて、大変助かっている」と話す。

第二さわらび作業所で利用者の送迎に活用されている車いすが積載できるワゴン型普通車「福祉号」(3日、甲賀市水口町)

 甲賀市水口町のさわらび福祉会「第二さわらび作業所」は、車いすが積載できるワゴン型普通車を利用者の送迎に活用する。生活介護や就労継続支援を行う同作業所は、心身に重度の障害がある利用者も少なくない。甲賀、湖南両市の広い地域から通所しており、ほぼ1時間かかる人もいる。コロナ禍でも自宅に引きこもらないようにという思いもあって利用者は減らず、送迎時には所有する車の大半9台が稼働している。

 施設長の大槻敏明さん(62)は「車両が増え、これまでは複数の利用者が集合場所に集まるケースを、場合によれば個別に玄関口まで送り迎えすることもできるようになった」、「今24人いる利用者の年齢は10代から70代と幅広いが、年とともに車いすの利用者も増えているので、車いす対応車は助かる」とも言う。利用者からは「ドアが大きく開き、乗り降りも楽」「車内が広く、同乗者との間隔もあけられる」などと評判もいい。

 本年度もワゴン型普通車や軽自動車など4車種計8台を贈呈する。申請は今月30日必着で同事業団075241)6186。選考委員会で審査し、12月に贈呈式を行う。