ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

3年ぶり対面の力強さ/情感・思い・志伝わる/中学生から社会人・15人「スピーチ」(23/02/20)

2023.02.20

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京都手話フェスティバル

「手話スピーチ」では、一人一人が舞台の上で、思いや主張を豊かに表現した

手話の普及と聴覚障害者のコミュニケーション充実を目指す第18回京都手話フェスティバルが1月29日、京都市中京区の京都新聞文化ホールで関係者約150人が参加して開かれた。聴覚障害のある中学生はじめ手話を学ぶ高校生、大学生、社会人ら計15人が、舞台の上での「手話スピーチ」で、それぞれの思いや主張を身ぶりや表情も交えて豊かに表現した。

京都府聴覚障害者協会と京都新聞社会福祉事業団が毎年開いてきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ここ2年は収録動画をインターネットで公開しており、対面での開催は3年ぶりだった。

フェスティバルでは、ろう者で俳優・劇作家の庄﨑隆志さんの手話パフォーマンス「手の詩・賢治の詩」も演じられた。参加者らは、宮沢賢治の遺作「雨ニモマケズ」などからイメージした手指による情感あふれるパフォーマンスをじっくりと楽しんだ。

スピーチ発表は一般の部9人、高校生3人、中学生3人の順で行われ、優秀者5人が表彰された。

一般の部の平方スミ子さんは、耳の障害に加え目の障害が進行する中でも、花木を育て続けている様子を、ゆっくりとはっきりとした手話で表現した。他の出場者らも、手話サークルに入ったきっかけや手話を通して学んだこと、自分自身の変化などを工夫した手話を駆使して発表した。

スピーチ発表の優秀者らが表彰された(いずれも京都市中京区)

高校生の3人は、高校で手話クラブに入った寺坂文那さんら、各人がボランティア体験などを通じて「手話ができる」看護師や管理栄養士、保育士を目指すようになり、手話を勉強している様子を話した。府立ろう学校中学部の3人は、修学旅行やマラソン大会の体験や平和問題についての考えを丁寧な手話で発表した。3年生の鬼塚裕也さんは学習発表会の劇でセリフや手話を覚えるのに苦労したが、「高等部でも手話をたくさん覚えていきたい」と話した。

審査委員長の岩井武志・京都府聴覚障害者協会副会長は講評で「主張やテーマを手話でどのように表現するのか各自の努力が知られた。仕事や学業、日常生活のある中でしっかりと練習を重ねて頑張られたことに敬意を表したい」とした。その上で「尾島美佳さんは、ロールシフトが分かりやすく表情もよかった。下羽根隆也さんは、手話がスムーズで表現も工夫されていた。平方スミ子さんは、ゆっくりと一つ一つの表現がきれいに表現できていた」と入賞者の評価点を指摘していた。

最後に京都新聞社会福祉事業団の白石真古人常務理事が、手話で自己紹介しながら「中学生たちの元気いっぱいの発表を楽しんだ。また、手話言語の豊かさに感激した。手話にゆかりの深い京都の地で、この催しを今後も発展的に継続していきたい」と締めくくった。

入賞者は次の皆さん。

【一般の部】最優秀賞=尾島美佳▽優秀賞=藤井亮汰
【高校生の部】最優秀賞=下羽根隆也▽優秀賞=澤田奈緒
【京都新聞社会福祉事業団賞】平方スミ子
第18回京都手話フェスティバルは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で3月上旬から配信される。