ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

目標や夢へ善意の後押し/ 他社の存在気付ける大人に

2024.07.22

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京都新聞愛の奨学金を贈呈

贈呈式では代表の生徒(右)に白石真古人常務理事から奨学金が手渡された(6日、京都市中京区の京都新聞社)

京都新聞社会福祉事業団の2024年度「京都新聞愛の奨学金」贈呈式が6日、京都市中京区の京都新聞社で行われ、物価高騰など厳しい経済状況下、将来への目標と希望を抱いて学ぶ京都府と滋賀県内の学生・生徒合計356人に総額3333万円が贈られた。

内訳は、公募一般の部で高校生84人、大学生・専門学校生105人、交通遺児の部で高校生6人と大学生6人、公立高が推薦した定時制・通信制の部で10人。19日には奨学激励金を児童養護施設の高校生145人に贈った。

大藪俊志・佛教大社会学部教授、伊住公一朗・京都青年会議所理事長、横江美佐子・京都市南青少年活動センター所長の選考委員3人が成績に加え、作文などで将来への思いや現在の学業に対する意欲をくみ選んだ。

一般の部には高校生176人と大学生・専門学校生224人、計400人から申請があった。ひとり親家庭が半数を超え、物価高、親の失業、家族の病気入院など困難な事情を申請理由にあげた。

贈呈式は2回に分けて開かれ、白石真古人常務理事と選考委員が代表生徒に奨学金を手渡した。常務理事は奨学金の趣旨や選考の経過などを説明。多くの寄付者からの言葉も引用し、「その思いをしっかりと受け止め、奨学金を大切に使ってください」と話した。大藪選考委員長と横江委員も「作文を通じ、皆さんが将来の夢や希望を持ち、日々の勉学や部活動に励まれていることを知りました。奨学金を有意義に活用し、他者の存在に気付けるような大人になってください」と激励した。

同奨学金は、事業団が発足した1965年以来続いている。誕生日にちなみ、年齢に100円をかけて寄付をする本紙の「誕生日おめでとう」コーナーへの寄付や、奨学金事業協賛寄付金、交通遺児のための寄付金などを加えて支給している。高校生は年額9万円、大学生・専門学校生は同18万円が返済不要で給付される。奨学激励金は3万円が贈られた。

困っている学生のためにと20年度から1千万円以上の寄付を続けている左京区の匿名女性から今年度も、1千万円の寄付があり累計6千万円となった。山科区の女性からの寄付500万円など、無償の善意が続いている。

贈呈式では、京都市内の男子学生は「4年生の今年は卒業論文準備の資金に奨学金を充てたい」と考えていたが、将来は高校教員をめざすとの目標を踏まえ、「社会に出ても常に謙虚に、感謝の心を忘れず、こうした支援も、次世代に返していけたら」と謝辞を述べた。

滋賀県内の医科大学で学ぶ女子学生は地域医療に関心を持ち、勉学や課外活動に励んでいる。しかし、授業やテスト勉強が忙しく、夏休みなども実習や課外活動でアルバイトの時間が十分にとれない。奨学金にはこれまで「教科書代や病院見学の費用に充てることができ、学習に集中する大きな支えとなっている」と感謝してきた。贈呈式の謝辞では「寄付者の期待に応え、医師になり、誰かを助け、応援し、社会に恩返ししたい」と話した。