2022.10.10
2022.10.10
赤塚 大作(あかつか だいさく)さん
赤塚大作さん(51)は、NPO法人「エンデバーエボリューション」の理事で、運営する就労継続支援A型事業の事業長補佐を兼ねる。知的障害や精神障害などのある人らが仕事を通じて生きがいを見つけ、自立生活へとつなげることを目指す。
京都市伏見区にある作業場で、京都市内などでスーパーを展開する大手チェーンストアから毎日回収する平均700~800個の商品配送用の空き箱を、業者別・用途別に仕分け、洗浄・整理する作業を指導する。20~50歳ぐらいの幅広い年代のメンバー17人と、高齢者を含む作業員7人、職員5人がいっしょに午前7時から午後5時まで交代で働いている。
広い駐車場にトラックが次々と発着する作業場は、屋根はあっても屋外作業に等しく、雨風や暑さ寒さの影響は厳しい。「猛暑の今夏、作業場内の温度は40度ぐらいになった。水分補給や休憩をこまめに指導し、おしぼりで体を冷やすこともある」と、赤塚さんは労働環境への細かな配慮を話す。
特に悩ましいのは新型コロナウイルス感染症への対策との兼ね合いだ。「マスクをしての作業は本当に暑い。密にならない作業では適時マスクを外してもらう一方、休憩や昼食時間のおしゃべりは特に控えてもらった」と、メンバーの体調管理に気を使った。
同法人はこのほか、業務用のカット野菜製造工場でキャベツの芯をカットする作業や、粗大ごみを仕分けするリサイクル作業、研磨製品の検品作業なども施設外就労として請け負っている。初めはミスも起きるが、慣れてくると作業は比較的スムーズに進む。「作業ができる、できないの個人差があり、バランスを考えて人を配置する。コミュニケーションがとりづらい人もいる。人の好き嫌いも出る」。いっしょに作業をしながらも、周囲に目を配る。
十数年前に福祉事業を立ち上げた法人理事長の松浦一樹さん(54)に誘われて加わった。「身内に発達障害の子がいて、そういう人が働く場所も必要だよなと、ぼんやり思っている時、松浦さんに声をかけられ、タイミングが合ってこの仕事に入った」という。
「自分の持っていた障害者のイメージは重度の人のイメージで、広い意味で偏見があったのかと今は思う。一緒に働いていると、こちらが身構えて接する必要はないんだ、コミュニケーション力がある人となら冗談も言い合えるんだと分かった」
消費者金融や営業職、警備関係などの仕事を経験した。「一般企業では、数字で表されるような結果を求められるが、福祉畑は数字で表れない部分がある。じっくりコミュニケーションをとって進める仕事だから、長く続けられているのかな」と自己分析した。
この事業所から一般就労に移っていく人もいる。現場をまとめる立場から「業務では、それなりのレベル、品質を求められる。ただ就労訓練でもあるので、メンバーにどんなふうに作業をやってもらうか、働いてもらうか、指導する職員が『手をかけすぎないよう』気をつけている」とも話した。