2024.11.18
2024.11.18
京都新聞福祉活動支援助成
京都新聞社会福祉事業団は2023年度、「福祉活動支援」事業として京都府と滋賀県で地域福祉を担う33団体・施設に、設備と運営の2部門合計で総額500万円を助成し、活用されている。
京都市西京区の京都視覚障害者支援センター洛西寮で活動する朗読ボランティアサークルには朗読CD製作用のパソコンとソフト購入資金の一部を支援した。同団体は毎週月曜にメンバーが集まり、最新の新聞記事やテレビドラマなどから選んだ「こんな話あんな話」のCD(60分)を視聴覚室で録音・製作している。同寮の利用者らが縫製や製箱作業などをする部屋で流すなどして、新鮮な情報を提供している。老朽化したパソコンとソフトを一新し、齋藤常子(ときこ)代表(78)は「より面白い話題を提供しようとオープンリールの録音機の時代から40年近く続けています。パソコンも12年前から使っているけれど、新品に代り、効率よくCD製作ができる」と話す。
長岡京市内の介護サービス施設や保育所を主な対象に活動する朗読ライブボランティア「拍子木の会」には、手ぶら拡声器4台の購入に充てる費用を助成した。
朗読ライブは、定期訪問先のお年寄りには小話や新聞拾い読みのほか歌謡曲なども取り入れて盛り上げ、子どもたちは紙芝居などで引きつけ、拍子木を打ってメリハリをつける。事前に企画会議を開き、バラエティーに富んだ演目の台本を作成。小学校や幼稚園、自治会などからの不定期なライブ要請にも応じている。藤原つる代・代表は「楽しんでもらうには、演者の声がよく通るよう手ぶら拡声器は必需品」と喜んでいる。
宇治市のNPO法人「京よりそい」は、社会福祉士らが電話やメールで悩みや不安を聞いている。月に3、4回は対面で耳を傾ける低料金の「よりそいカフェ」も開いており、運営費の一部を支援した。
福味義幸代表(55)は「心身の不調や家庭内の人間関係などに悩む人に話を聞いている。相談者は40代など中年の男性も増えている。他人に話すことにためらう人もいるが、自殺者が増えている時代、早く悩みを話して、ため込まないことも大事」とし、「家族関係や家庭環境もあり、悩みに深くは踏み込めず、傾聴が主体だが。孤独・孤立対策にも取り組みたい」と課題も語る。
滋賀県守山市の「若者自立支援ボランティアGroup居場所の会『レリーフ』」は、ひきこもりがちな若者の社会参加を支援する。当事者家族らが8年前に立ち上げ、手芸や書道、下請け仕事など室内作業や調理実習、工場や文化施設の見学、農園での野菜作りなど幅広い活動を続ける。
大道生枝(いくえ)代表(73)は「共通の目的を持ち、一緒に作業や何かに没頭する時間と場所を作り、それが自信につながれば」と願っている。「例えば農作業も不作だとがっかりするけど、収穫が多くて売れれば、やりがいと楽しみになる。一般的な就労というレベルとは違っても、各人の個性や能力、意欲を生かせる『中間的な就労の場』を作りたい」と模索。家族の情報交換や学習会にと「親の会」も行っている。
(ライター 山本雅章)