2024.11.19
2024.11.19
書家杭迫柏樹(くいせこはくじゅ)さんの卒寿を記念する展覧会が19日から、京都市中京区の京都文化博物館で始まる。心酔する儒学者、王陽明の思想を大書した作品や、故郷の静岡県に思いをはせた詩、書家として自身に言い聞かせている10か条など、新作も含めた約50点で、伸びやかな歩みを振り返る。
杭迫さんは京都学芸大(現京都教育大)で学び、京都府立網野高や城南高で教員を務めた。日展のほか府文化賞功労賞、京都市文化功労者など受賞を重ねている。
卒寿記念展は冒頭で、活躍の場である京都と故郷・静岡にちなみ、京洛の名所を詠んだ高瀬惺軒(せいけん)の詩と、石川丈山や伊藤博文らが富士山を詠んだ8首をそれぞれ屏風(びょうぶ)に仕立てて展示した。
学生時代から心にあったという杜甫の「兵車行」十幅対、コロナ禍での考えをつづった「柏樹放言」、「書を万人のものに」など書家としての決意を書いた作品などからは、筆に託した強い思いが伝わる。
米寿に書いた「筆が歌い墨が舞う」の言葉には、歳月を乗り越えて到達した軽みが見える。
24日まで。無料。22日以外の毎日午後2時からギャラリートークがある。(林屋祐子)