ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

チャリティー美術作品展 18日から京都高島屋

2024.12.16

  • 京都新聞チャリティー美術作品展
  • 歳末ふれあい募金
  • ともに生きる

平安の心 響き合う社会に

幼い頃の気持ちに戻って

絵画、陶芸…善意千点超

 「第42回京都新聞チャリティー美術作品展 京都新聞社会福祉事業団設立60周年」(同事業団・京都新聞主催)が18日から京都市下京区の京都高島屋で開かれる。美術作家や宗教家らの協力で1983年から続いている。今回も陶芸、工芸、彫刻、洋画、版画、日本画、書など1000点を超える寄贈があった。

 切れ長の目の美人画で知られる画家鶴田一郎さんは、京都市に創作の拠点を構えて10年になる。


 化粧品会社ノエビアの広告をはじめミュージシャンのアルバムジャケットなども手がけてきた。


 「伝統文化と革新を感じる地」という理由で京都を選んだ。仏画や琳派作品のエッセンスを取り入れるなど作風を広げ、寺院でも作品を発表している。


 70歳となった今、「京都が『終(つい)の棲家(すみか)』との思いで、自分のスタイルでこれからも美人画を表現していきたい」と話す。

 チャリティー美術展には、これまで15年にわたって作品を寄贈してきた。


 「自分自身は描いている時がいちばん落ち着く。作品から、やすらぎと心の平安を感じ取ってもらえれば」


 同美術展には、書画や工芸、宗教家の揮毫(きごう)など多彩な分野の作家の作品も並ぶ。


 「それぞれの魅力と個性を、地域福祉や美術の分野を超えてさまざまな方々に触れていただける貴重な機会」と鶴田さんは話す。


 「人の喜びや救いへ思いをはせる平安の心が響き合い、社会全体へと広がってほしい」と願っている。

京都を終の棲家に、美人画を描く思いを語る鶴田一郎さん(京都市下京区)

 イラストレーターで絵本作家の永田萠さんは、美しい色彩から生み出す独自の「花と妖精」の世界が広く知られる。作品を一環して貫くのは「童心」だ。


 百貨店を会場にしたチャリティー美術展には、永田さんの作品を目指す熱心なファンだけでなく、より幅広い層が来場する。


 「私の名や作品を知らなかった方に見てもらえることこそ、このうえない喜びです。どなたも子どもだった時があるはずです。懐かしいような、ふんわりとやさしい気持ちに戻っていただけるなら、作者にとっては望外の幸せです」と永田さんは話す。

公園から子どもの歓声が響くことを、こどもみらい館で話す永田萠さん(京都市中京区)

 京都新聞の福祉面に寄稿する随筆では、みらい館に隣接する公園で遊ぶこどもや子育てする若い親と接したエピソードをいきいきとつづっている。

みらい館の前身は明治初頭に創設された伝統ある番組小学校だということも、随筆で記した。


 少子化による学校統廃合やコロナ禍など社会環境の激変も経た。「先人は、社会の未来と夢を子どもたちのすこやかな成長に託しました。その願いは、今こうして子どもの歓声が響く姿を目にすれば、きっと喜んでいただけるでしょう」
 23日まで。無料。