ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

ありふれた連帯

2025.01.27

  • コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

平等院住職 神居 文彰

 古書市で、『週刊アンポ』創刊から12号、全13冊を手に入れた。13というのは準備0号が先行したからである。レイではなくゼロとの振り仮名の通り、それ以上は無い。実は天気予報で降水確率「レイ%」というのは、僅(わず)かだが降る可能性もある基準値読みということを振り仮名で知った。


 70年安保に反対した作家小田実らによる運動の一つであるが、ゼロ号には「紙のつぶて」「反消費」がうたわれ、行動に到ることを目標とし「不完全燃焼のみをおそれる」とあった。


 70年安保を実感できる世代も少なくなってきたと思うが、最近だと漫画『恋とゲバルト』や映画『ゲバルトの杜もり』などで新しく知る若者も多いと聞く。


 私は小学校入学前、音羽の東大分院で3月以上過ごしているが、大学から分院に避難する教授陣によって救われたと当時婦長をしていた叔母から聞いている。


 発刊の昭和44(1969)年は、電子レンジ調理終了音「チン!」が周知されたころであり、全自動洗濯機の進化も進み、生活に直結した社会変化の揺籃(ようらん)期ということが出来る。私は餅を積み重ね、チーズを挟みチンするチーズ餅を試していたが、調べると当時喫茶店でもメニューにあがっていたようである。

 現在の社会ウエーブは行動より〈印象操作〉が重要となり閉鎖接続となる。


 平和理想へのあの瞬間に共鳴し同じ気持ちだったという先輩も多い。

 現在休館中の「山の上ホテル」を愛した池波正太郎はチップの重要性を語っていた。カード決済では、対価以外の関係を産み出す余地はない。金銭以外の笑顔と人との結びつきである。

 同日に買った米国の絵本作家マンロー・リーフの『すばらしい世界へLet’s Do Better』は、「恐怖」をたずね希望を芽生えさせる幼い読者へと結ばれていた。

かみい・もんしょう氏
大正大学大学院博士課程満期退学。愛知県生まれ。1992年より現職。現在、美術院監事、埼玉工業大理事、メンタルケア協会講師など。