2025.04.22
2025.04.22
京都新聞愛の奨学金 昨年度奨学生が報告
学費の捻出が困難な生徒・学生を支える「京都新聞愛の奨学金」の昨年度奨学生から京都新聞社会福祉事業団へ、使い道の報告や寄付した人たちへの感謝の言葉が届いている。「お世話になった地元に貢献したい」「子どもに向き合う力をつけたい」など夢と希望に向かって挑戦する喜びが文面から伝わってくる。(奨学生の所属・学年などは支給時)
学校の「保健室」が唯一の心のよりどころだったことがある大学1年女子は、小学生の時に父を亡くしてつらく不安な気持ちを抱いた。その経験から養護教諭を目指し、養護学にとどまらず心理学や社会福祉も学ぶのは、「広い視野から子どもに向き合う力をつけたい」からだという。

助産師になりたいという夢をかなえるために医科大へ進学した1年女子にとって、自身が育った京都府北部では過疎化が進行し医療従事者が不足している。「誰もが安心して医療を受けられるよう、お世話になった地元に貢献したい」とつづる。
美術系短大でデザインを学ぶ1年女子は、自身の作品が着物と帯のデザインコンテストで最優秀賞を受賞した。制作や納品、応募などコンテスト参加に必要な費用について「奨学金の支援があったからこそ挑戦が可能となった」という。
陸上競技で全国大会出場を果たした高校1年男子によると、京都府や近畿の各大会出場への交通費や宿泊費だけでなく試合用、練習用と多くのシューズに多額の費用がかかるという。奨学金は「国スポ強化合宿への参加費用に使わせていただき、皆さまに恩返しできるよう、どれだけしんどくても全力でがんばります」と記す。
この日は「だれにだってお誕生日」「花は咲く」などのレパートリーを、時には客席まで降り立つパフォーマンスや明るく豊かな表情、手や体全体の動きを交えて表現した。
父子家庭で兄弟も多い高校2年女子は、歴史研究者になる夢に向けて、専門的に学べる大学に進学するため参考書の購入費に奨学金をあてた。「歴史が現代にどのような影響を与えるかを理解し、社会に貢献したい」と夢を語った。
2歳から児童養護施設で集団生活を送った高校1年女子は、幼児教育を学ぶ4年制大学を第1志望とした。入学金や学費、ノートパソコンなどの資金が必要なことに不安を抱いたが、「安心して受験勉強に集中し、無事合格できました」とつづるに至ったのは奨学金のおかげだった。
寄付した人からは「子どもたちが輝く社会は大人にとっても希望です」(69歳女性)「努力したことは一つも無駄になりません」(50歳女性)など応援と共感のメッセージも寄せられている。
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本紙「誕生日おめでとう」欄への寄付などをもとに実施している京都新聞愛の奨学金は、社会福祉事業団が発足した1965年に創設された。京都・滋賀在住の生徒・学生を対象とした返済不要の給付型で、大学生と専門学校生に年18万円、高校生に同9万円、児童養護施設高校生に奨学激励金3万円を支給している。
昨年度は公募の一般、交通遺児両部で201人、公立高推薦の定時制・通信制高校生の部で10人、児童養護施設の高校生145人に総額3333万円を贈った。学費や通学費、参考書など教材費、資格取得のための受験料などに生かされた。
本年度の一般、交通遺児両部への申請は5月1日まで受け付けている。申請書は社会福祉事業団ホームページに掲載している。