ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

《 京都市地域あんしん支援員 》

思いに寄り添い解決導く




地域あんしん支援員を紹介する京都市社会福祉協議会の広報誌
 「ご近所のおじいちゃん。気さくな方だったのに、奥様が亡くなられてから、庭は荒れ放題、衣服も乱れていたり季節に合っていなかったり、回覧版は止まりがち。ちゃんと生活されているのか心配だけれど、声をかけると『何も困っていません!』とけんもほろろに言われてしまう…」

 こんな状況を想像してみてください。もしかしたら、この方は、自ら『助けて』と言えず、何らかの課題を抱え込んだまま孤立し、途方に暮れていらっしゃるのかもしれません。

 こういった方の背景には、生活の困窮や病気、障害、さらに深刻な複数の課題が隠れていることがあります。抱え込みが長期化し、いわゆる「ごみ屋敷」や福祉サービスの利用拒否などに陥ってしまうこともあります。

 地域あんしん支援員設置事業は、こうしたいわゆる「社会的孤立」などの状態にあり、福祉的な支援が必要であるにもかかわらず、既存の制度や地域だけでは対応が困難な方に対し、行政等の関係機関や民生委員等の地域との連携の下、ご本人に寄り添いながら福祉的な支援につなげることを目的とする京都市独自の事業です。

 本事業は、京都市社会福祉協議会が京都市からの委託を受けて実施しており、各区役所・支所保健福祉センターとともに、支援対象者を選定し、その方に合った支援方針を立て、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を保有するなどの専門的な14人の地域あんしん支援員が支援に取り組んでいます。

 支援が必要な方に、柔らかなお声掛けから始め、信頼関係を築き、ご本人の思いや生活歴を聞きながら、少しずつ抱えていらっしゃるさまざまな課題を解きほぐしていきます。また、居場所等の社会参加の場に同行したり、福祉サービスや支援施策の利用を提案し、一緒に手続きや準備を進めるなど、ご本人の思いに寄り添った支援をしています。

 2014年4月の事業開始から22年3月末までに277世帯の支援にあたり、171世帯が課題解消や必要な福祉サービスなどにつながっています。支援の際、気さくに会話ができる関係づくりに苦労したり、なかなか生活課題に触れさせてもらえない場合もありますが、粘り強く関わり続けることで、その方の変化のタイミングを的確にキャッチし、ご本人がその人らしく安心できる生活へとつないでいくことを、支援員一同心掛けています。

(京都市社会福祉協議会参加支援部)