ともに生きる・福祉のページ
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社会福祉事業団「福祉号」贈呈事業

施設利用者送迎や栽培野菜運搬に活躍
寄付基に、19年度は8団体に贈呈(2020/06/29)



 福祉団体や施設の活動を支援するため、京都新聞社会福祉事業団は昨年度、車いすリフト付き普通車や軽トラックなど「福祉号」8台を京都府と滋賀県内の計8団体に贈呈した。障害者施設に通う利用者の送迎や、作業所で障害のある人が栽培した野菜の運搬などに活用されている。

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バギー型の車いすも乗れる車いす積載普通車(6月11日、京都市北区・レガート花の駅)
 福祉号贈呈事業は、同事業団の設立55周年を記念し、一昨年4月に亡くなった京都市内の女性の遺贈寄付を基に3年計画で実施している。初年度の2019年度は38団体から応募があり、選考委員会を設けて京都府内6団体、滋賀県内2団体に贈った。

 京都市北区の障がい者デイサービス・レガート花の駅は、車いす積載普通車の福祉号を送迎に使っている。花の駅は、医療的ケアが必要な人や重度障害のある人を受け入れており、山科区や右京区など遠方からの利用者も多い。完全送迎のため、福祉号は大活躍している。「年々重度の方が増え、送迎付きだから来られる人も多い。今後、受け入れを増やそうと思っていたので大変ありがたい」と管理者の鈴木亮子さん(46)。今後、福祉号を活用して、動物園などへの外出にも挑戦したいという。

 車いすリフト付きワゴン型普通車の贈呈を受けた守山市のもりやま作業所は、利用者の送迎に活用している。48人の利用者の多くを送迎しており、朝夕4、5台の車両を走らせている。大津市などの遠方から通う人もあり、ピストン運転が必要だったが、福祉号が加わったことで送迎時間を短縮できるようになったという。主任指導員の本條靖人さん(27)は、「福祉号は広くて車いすが2台乗るため、一度に多くの人を送迎でき、利用者の会話も弾む。みんなうれしそうです」。

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福祉号に乗り込む利用者。新型コロナウイルスの影響で少人数だが、いつもはほぼ満員だ(6月12日、守山市・もりやま作業所)

 障害のある人と一緒に農作業などの活動に取り組む京都市伏見区の深草福祉農園は、トラック型軽自動車の贈呈を受けた。利用者らが栽培した採れたて野菜を週2回直売所に運ぶほか、木津川市にもある農園に農機具を運んだり、収穫した野菜を載せて帰ったりするのに使っている。施設長の小野直樹さん(49)は「軽トラはなかったので、積み下ろしがしやすく、農作業に大変重宝している」と話す。

 今年に入って新型コロナウイルスの感染が広がり、活動を自粛する事業所もあった。しかし、少しずつ再開され、利用者たちは健康管理に配慮しながら、福祉号を活用して作業などに取り組んでいる。

 福祉号贈呈事業は本年度も、昨年と同規模で8月に募集することにしている。

 (フリーライター・小坂綾子)