ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞福祉活動支援

■交流絶やさず輪広げる
■PC新調しチラシ作成

昨年度助成の25団体
コロナ禍乗り切る力に
(2020/10/26)


 京都新聞社会福祉事業団は、京都府、滋賀県内の福祉団体や施設を対象とした「京都新聞福祉活動支援」事業で2019年度、25団体に総額387万円を助成した。障害者スポーツ団体の練習会や病気の子どもたちを支える団体のイベントをはじめ、就労支援事業所の設備更新などに充てられ、それぞれの活動に役立てられている。

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全国大会に出場した京都精神障がい者バスケットボールクラブのメンバーら(2019年11月、大阪市)=提供写真
 本紙の寄付コーナー「善意の小箱」や年末の「歳末ふれあい募金」に寄せられた浄財をもとに、運営と設備の2部門で公募し、選考委員会で決定している。前年度は計43件の申請があり、運営17件、設備8件に助成した。

 運営部門で助成を受けた「京都精神障がい者バスケットボールクラブ」は、府立洛南病院リハビリテーションセンター(宇治市)に事務局を置き、京都市伏見区で月1回夜に練習会を開く。孤立しないよう、また身体を動かしていろんな人とコミュニケーションを図ろうと14年に結成。ボランティアを含む若者から40歳代まで約50人が登録し、毎回15人程で練習している。元プロ選手を交えた交流会も開き、ブログで紹介するなど、活動の輪を広げるのも目標だ。

 しかし、目標の秋の全国大会が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年は中止。会員も日常生活が制約され、ストレスを抱えやすい環境になりかねない。事務局の作業療法士・岩根達郎さん(43)は、月1回の活動を定期的に続ける効果と意義を感じており、会員や参加者を広げていく活動に助成金を生かしたいと話している。

 同じく運営部門の「京都の医療的ケアを考える会KICK」(北区)は、医療的ケアが必要な子どもを持つ家族の勉強会や交流イベントを開催している。18年に始まり、現在は家族会員とサポート会員など約50の個人と団体が登録。昨年は親子コンサートを開くなどしたが、コロナ禍の今年は5月の「キッズヨガ」や8月の音楽会をビデオ会議アプリで開催した。

 同会は本年度、防災をテーマに掲げ、停電時にも人工呼吸器が動かせる発電機配備などを考えており、「活動紹介のパンフレットの作成にも助成金を生かしたい」と会長の金野大さん(37)は話す。

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手作り総菜で弁当を作る無門社のメンバーと職員(14日、京都市東山区・浅川亭)
 設備部門で助成を受けたNPO法人「無門社」(下京区)は、パソコン2台の新調費用に充てた。就労継続支援を行っており、東山区の町家を改装した店舗「浅川亭」では、5人が職員の指導を受けながら、平日午前7時半から午後4時まで手作り総菜の弁当を作り、近くで開く「きんぎょ食堂」でも販売。また、独居高齢者への配食サービスとして、安否確認を兼ね約20軒を訪問し手渡している。

 こちらもコロナ禍で販売を一時停止したり、イベント向け弁当の注文が途絶えるなど影響を受けた。最近、店舗販売を再開。新たに配食希望が増え、地域イベントも徐々に始まっていることから「イベントでの弁当注文に応じ、今後は弁当のテイクアウトも検討している」と施設長の小槇博美さん(65)。新調したパソコンを毎日変わる献立表や弁当のラベル、チラシ作りなどに活用している。

 本年度の福祉活動支援事業は、障害のある人の自立支援「工賃増へ向けての取り組み助成」事業と同時実施する。11月下旬に募集を始め、来年3月に決定する予定。