ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞子育て応援事業

オンラインを積極活用
孤立しがちな親支え

(22/05/16)


 3年越しの新型コロナウイルス感染禍で制約の多い中、孤立しがちな乳幼児の子育てを地域から支えようと、オンラインなどの手法を活用しつつ「ウィズコロナ」時代の活動を模索する団体も多い。京都新聞社会福祉事業団は、それを支援する「子育て仲間を応援」助成と「子育て事業助成」の申請を今月31日まで受け付けている。昨年度の助成例を紹介する。


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「絵本の広場」は、草津まちづくりセンターで、乳幼児と親を対象に絵本の読み聞かせなどを行っている(草津市)=提供写真
 「仲間応援」助成を受けた「絵本の広場」は、草津市の草津まちづくりセンターを会場に乳幼児と親を対象に2000年秋から年20回、絵本の読み聞かせや手遊び、木製おもちゃ遊びなどを行ってきた。20年には400回記念の会を予定したが、コロナ禍でいったん中止。通常の会も会場を広い部屋に変更し間隔や換気に配慮、自由参加を時間短縮して申し込み制にするなどして続けている。

 代表の竹谷利子さん(68)は「人気のおもちゃ遊びを休止したので子どもらは少し物足りないようですが、子育て中のお母さんを応援するのも会の狙い。コロナ禍で引きこもりがちな乳幼児と母親を家から外へ誘い出す役割を果たせたのでは」と認識している。

 念願の400回記念は、再度計画した21年秋もコロナ禍で中止になったが、同年に代わりのクリスマス会を開き、この5月8日に記念コンサート開催にこぎつけるなど粘り強く活動している。助成金はクリスマス会の絵本プレゼントなどに充てられた。

 京都市伏見区の「ぱおぱおつながり」は、月に数回、妊娠女性や乳幼児と母親らに交流場所を提供して絵本の読み聞かせなど「母と子の広場」を開いてきた。21年度はコロナ禍に対応して「マタニティヨガ」や「産前産後お話会」をオンラインで開催。また、乳幼児とお母さんが安心して買い物や散歩できるように配慮して、店や街を紹介する「子育て家族のぱおぱお伏見MAP」も制作した。

 代表の中川真由美さん(44)は「産後は体力的にも心理的にも不活発になって人とも疎遠になりがち。オンライン開催では『出歩けてないので、久しぶりに他の人と会話できよかった』などの反応があった」と言う。助成はオンライン環境の整備などに役立てた。

 「事業助成」を受けた団体も積極的なオンライン活用が目立った。「すっきり会」(上京区)は、不登校や行き渋りの子を持つ保護者やその子を応援する茶話会やミニ講演会をほぼ毎月開いている。スマホやパソコンでの参加も取り入れ、昨年7月には助成を充ててオンライン講演会も開いた。代表の田井中麻美さん(41)は「対面では、相互の表情や声の調子まで聞けるメリットはある。会の目的は、気持ちを吐き出すこと。雑談的に話す方が役立つこともある」としつつ、「対面参加には勇気がいる人もいる。オンラインなら聞くだけもできるので、参加者が増えたりすることも」と話している。

 毎月1回、妊産婦や助産師らが参加する「お産を語る会」を京都府内で開いている「きょうとお産といのちの会」(伏見区)も4回、オンラインで開催した。

 前年度は「子育て仲間を応援」で77団体に一律2万円、総額154万円を、「子育て事業助成」で1件15万円を上限に10事業、総額81万円を助成した。本年度の募集要項と申請書は同事業団ホームページから印刷できる。