ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞福祉活動支援助成

地域社会でより豊かに 子どもの成長を見守る
設備、運営2部門で441万円(22/11/15)



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屋根を改修した作業棟の前で作業を進める(京都市伏見区、10月28日)
 京都新聞社会福祉事業団は2021年度、「福祉活動支援」事業として京都府と滋賀県で地域福祉を担う26団体・施設に、設備と運営の2部門合計で総額441万円を助成した。本紙の「善意の小箱」や「歳末ふれあい募金」への寄付を基に支給しており、就労支援事業所の設備更新や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた団体の運営などに活用されている。

 設備部門では京都市伏見区のNPO法人「あすく」など6団体が助成された。「工房あすく」は主に自閉スペクトラム症の人たちが、地域社会でより豊かに暮らせるよう支援している。助成金は、利用者らが近くの龍谷大深草キャンパスから回収した空き缶のリサイクル作業に使う建物の傷んだトタン屋根修理費用に充てられた。

 同工房はここ2年ほどのコロナ禍で、下請け作業や皮などの自主製品の売り上げが落ち、大学の休講やリモート授業で空き缶回収の作業量も減った。打越正信所長(52)は「こちらの利用者は見通しを持って行動することが苦手な人が多い。リサイクル作業などは見通しを持って行動できるようにという目標もあるので、空き缶が確保しにくくなったのは困った」と振り返る。

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「子ども食堂」の夕食を準備するボランティアの女性ら(京都市伏見区、10月27日)
 コロナ禍では「マスク着用が習慣付けられなかったり、窓を開けての換気が難しかったりする重度障害の人が多く、対応には工夫がいった」とも話す。ただ、作業棟の屋根修理を機に「空き缶の回収量も回復してきた。電気配線など建物内部も改修して大いに作業に取り組みたい」と期待を寄せている。

 運営部門では伏見区の「藤の木セカンドハウス」など20団体が助成を受けた。同ハウスは21年12月、藤の木小の児童を対象に登録制で始め、助成は「子ども食堂」の活動充実などに充てている。

 同区の城南児童館では、地元の民生児童委員らボランティアが学区の児童を対象に月一度、土曜の午前に「子どもキッチン」を17年から続けている。子ども主体に料理を作って楽しみ、併せて生活力も身に付けようという試みだ。

 セカンドハウスはその活動の発展形だ。月2回、木曜日の夕方5時から許可を受けた市営住宅の一室に子どもたち15〜20人が集まり、ボランティアの京都文教大の学生らに宿題や勉強を見てもらったり、ゲームをしたりする。途中、ボランティアの女性らが作った夕食をいっしょに囲む。人気メニューはオムライスやカレー、シチューなど。学区の社会福祉協議会会長で代表理事の山内忠敏さん(77)は「人気メニューの時は集まる子どもの数も多く、にぎやか」と目を細める。

 山内さんは「家庭事情はそれぞれ。給食のなくなる夏休みなどは栄養面で気になるケースもあり、民生委員の間で気になっていました。それがセカンドハウス発足のきっかけの一つです。地域の人とボランティアが力をあわせて子どもたちを支えたい」と話す。

 22年度の「福祉活動支援」の助成金は12月に募集を始める。選考委員会の審議を経て、1団体50万円を上限に贈呈する予定。