2020.04.14
2020.04.14
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
さわやか福祉財団 会長 堀田 力
新型コロナウイルス問題がいつごろ収まるか見通しが立たないから、わがさわやか福祉財団は、今年9月に予定していた「いきがい・助け合いサミットin愛知」を来年9月1、2日横浜開催にそのままスライドして延期することにした。
この見えない敵はじわりじわりと勢力を広げて、東京都などに緊急事態宣言が発せられたが、その対策は人との接触を避けるのが基本という原始的な状態下にある。
感染性ウイルスという自然は残酷な奴で、高齢者とか疾病保持者とか生命力(免疫力)の弱い人を狙う。
この優生学的な自然の原理に対し、人間はどういう原理で立ち向かうか。
それは、人類がここまで発展する原動力となってきた「共助・共生の原理」であろう。
その観点からいえば、事実上の外出禁止令が出ている英国で、政府が医療サービス支援のボランティアを公募したところ、わずか2日間で67万人以上が応募し、当初の目標人数25万人を大きく上回ったというニュースは「まだまだ人間捨てたものじゃないぞ」と頼もしくなる。
東京も、小池知事の外出自粛要請のあった夜、繁華街に集まって騒ぐ若者の姿が映像で報じられて「日本も自分さえ良ければの風潮に逆らえないのか」と心寒く感じたものだが、その後ウイルスが潜在して無症状の若者も高齢者などに感染させうるという知識が普及してくると、繁華街から若者の姿も目立って少なくなっており、共助・共生の心は消えていないと心強く感じている。
これなら冷たい自然の原理に負けて人間の連帯力の弱さを避けられるのではないか。
それにしても、まずは自助努力が必要である。免疫力を高めるために、睡眠、栄養、運動、気力。そして人との接触を避けるための監禁状態に明るく耐えること。その間新しい知識の獲得に楽しく挑戦するのも免疫力向上に役立つのでは?
ほった つとむ氏
1934年宮津市生まれ。京都大法学部卒業。東京地検特捜部検事、最高検検事などを経て、91年に法務大臣官房長を最後に退職。現在、ボランティア活動の普及に取り組む。弁護士。著書に「おごるな上司!」「心の復活」「少年魂」など。