ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

ウィッシュリスト あなたに贈りたい

2022.01.17

  • コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

関西大教授 所(ところ) めぐみ

20年ぐらい前、英国在住の友人が結婚する際、お祝いをどうしようか悩んだ。日本であればご祝儀(お金)やお祝いの贈りものを渡すのだが、慣習の違い、海外からの送料などを考えた。本人に贈りものをしたいと伝えると、「それならここに登録してあるからお願いしていい?」と、ロンドンにあるデパートのサイトを教えてもらった。早速そのサイトにアクセスしてみると、本人たちがお祝いで欲しい、新生活を始める上で必要なもののリストが登録され、そのデパートの商品の写真が並んでいる。掃除機やマットや食器など。それぞれ本人が欲しいメーカーの機種等だそうだ。

もともと英国には結婚の際、リストをお店に預けて、友人らはそこから選んで贈るというウエディングリスト登録の慣習があった。本人たちが欲しいものを贈ることができ、相手を思って何を贈るかを選ぶ楽しみもある程度ある。リストにはさまざまな価格帯のものがあるので、自分の予算に合うものを選べる。おまけにオンライン化により、すでに購入済みのものにはチェックが入っていてかぶらない、時間をとられないし、海外からの送料もかからない。本人のもとへはまとめて届くのであるから、当時はなんて合理的で便利と思った。

贈りものをしたい相手が登録する欲しいもののリスト(ウィッシュリスト)から選んで贈るしくみは、オンライン通販の普及とともに各国に広まった。最近では例えばインターネット通販アマゾンの「みんなで応援」のように自分が応援したい団体、施設、個人を物資で支援するためのしくみとしても活用されている。それぞれの支援先が作成した「ほしい物リスト」から商品を購入することで、物資の支援が行える。贈る側は名前も住所も明かさずに贈ることができる。名前を明かすことになるようだがメッセージをいっしょに送ることもできるようだ。応援したい相手にその人が必要なものを贈ることができるしくみ、活用してみては。

ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。