ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

対面の良さもオンラインの良さも

2023.03.27

  • コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

関西大教授 所 めぐみ

コロナ禍の間はできなかった行事や活動が再開された。一方、コロナ禍の間に始めた活動や培った術には今後も継続して生かしていけるものが少なくない。

勤務する大学が地域連携事業や学生の社会福祉士実習でお世話になっている高齢者福祉施設。コロナ禍の間、あるゼミの学生たちは、感染予防のため外出ができなくなった入所者のために、お花見に行けなくてもお花や街の様子を見てもらえるようオンライン中継を行っていた。実習でお世話になった学生は、コロナ禍の間に施設の利用者さんたちとのオンライン英会話を開始し、現在も続けている。職員さんによれば利用者さんたちの英会話力がアップしているようだ。

コロナ禍の間、やりたくてもできないことの次善策として、オンラインの活用は各所で見られた。一度慣れると、高齢者の方々にとってもオンラインは趣味活動や外とつながる有効な道具であるし、学生にとっても継続しやすい活動となっていて、コロナ後もこの形での活動は続きそうだ。

もちろん対面ならではの活動の良さもある。私のゼミの学生たちはオンラインを活用しての高校生らとの交流活動を実施してきたが、卒業を前になんとか対面での活動ができないかと、このたび施設のデイサービスの利用者と職員の方々、そして学生たちとの協働で「思い出ファッションショー」を実施した。1カ月ぐらいの間に、学生たちはデイサービスの利用者さんの思い出を聞き取りし、その思い出の衣装を利用者さんが着て、モデルとしてランウエーを歩く。学生たちは思い出をスライドにしたものを流しながらアナウンスや一緒に歩くなどして、他の利用者さんや職員さんらと盛り上げる。

すてきな飾りも一緒につくった。希望者には手の甲にボディペインティング。手を重ね膝をつきあわせて、学生と高齢者の方々が楽しそうに話している。帰りの電車でも学生たちは高齢者との関わりについて語っていた。

ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。