2021.12.27
2021.12.27
第三かめおか作業所
新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題となったこの2年、福祉施設や団体も大きな影響を受けた。京都、滋賀の障害のある人が働く場でも売り上げや賃金の減少などの波を受けた事業所も多い。そんな中、亀岡市保津町の「第三かめおか作業所」は「はたらく・つながる・はっぴぃ」を合言葉に、地域とのつながりを強みに、売り上げも労賃も維持している。
同作業所は、運営する亀岡福祉会が掲げるテーマを基に▽働くことを通して、地域と社会とつながり、一人一人の夢や願いを膨らます▽たくさんの工賃を得る▽自分らしい働き方を見つける―を目指し、20~70代の42人が、草刈りや清掃、お菓子作りなどで働く。
良い物を作り、高賃金を得るのに貢献しているのが、油を使わずニンジンやトマト味をつけた「お野菜チップス」と発酵バターや京都府産卵など材料にもこだわったシフォンケーキなど焼き菓子。「人気商品で、年間1200万~1300万円の売り上げがあり、月額4万円ほどの賃金維持に役立っている」と日下部育子所長(54)。
「支援学校の卒業生に働く場を」というところからスタートした作業所だけに、普通の販路拡大ではなく「8万人の亀岡市民に支えられるように」と地域密着型を心掛け、口コミで輪が広がった。注文書を地域の学校などに置いてもらう「届ける販売」法もそのひとつ。綾部市物部町のあやべ作業所のバウムクーヘンなど他の事業所の商品を引き取ってセット販売したりする工夫も重ねている。
障害の程度が比較的軽度の利用者も多いので、「心から楽しめる活動を通じて社会で生きる意欲や自信を育て」自立生活を目指す取り組みも続ける。昨年から始めた「今月のミッション」は毎月テーマを決めて、一人一人が取り組む。
先月の「おしゃれ、みだしなみって?」では、爪切りや頭髪の手入れなど衛生面のほか、身づくろいや身に着ける物にも気を配ろうというもの。これまで、「カレーを作ってみよう」では、各自が自分のアイデアやレシピのカレーを実際に家などで作った。「夏らしいかき氷を作ろう」では、スイカを使ったり、水色のかき氷を作った利用もいた。「この地域を知ろう」では、地元自治会の人に話を聞き、それを地図の上に書き込んだりするなどの活動で、楽しみを見いだしている。作業所で作ったお菓子にメッセージを添えて地元の自治会や警察など、世話になっているところに届けたりもした。
また、1月に府内で3カ所開かれる、障害のある人らがパソコンや喫茶サービスなどの技術を競う「アビリンピック京都大会」に利用者の2人が参加予定で、技術向上の練習にも取り組んでいる。
こうした積み重ねもあり、コロナ禍でも同作業所では公共施設や民家での清掃作業・草刈りなどの仕事も絶えず、逆に「こんな状況の中でも続けてくれて」と喜ばれたことも。また利用者も、自宅に引きこもらないようにと周囲が配慮する一方、利用者自身が「自宅待機より作業所に行きたい」という声も多かったといい、日下部所長も手応えを感じている。
第三かめおか作業所
就労移行支援・就労継続B型支援事業所。職員15人。2003年開所。亀岡福祉会は1982年に社会福祉法人認可。78年開所した亀岡共同作業所がルーツ。同法人は現在計3作業所と多数のグループホーム、ホームヘルプセンターなどを運営している。0771(21)2275