2023.07.17
2023.07.17
京の地蔵盆・夏祭り請負人実行委員会
新型コロナウイルス禍で中止や縮小傾向の「地蔵盆」について、関連事業者などの団体が京都市内のイベントで実施した来場者へのアンケートを集約した。今年は復活させる予定の町内会・自治会が多い傾向が浮かび上がった。3年間の空白に関する課題がうかがえる一方、「地域がつながる大切な場として残したい」という感想や持続可能な新しい形へと学生参加による具体案も上がっている。
地蔵信仰の拠点・壬生寺をはじめ玩具や提灯(ちょうちん)、菓子・食品販売や用具レンタルなどの事業者、学生ボランティアで構成する「京の地蔵盆・夏祭り請負人実行委員会」が、6月上旬に中京区のゼスト御池地下街で相談会を催した。
約400人の来場者から、215の回答が寄せられた。うち町内会や自治会が地蔵盆を「3年間中止」したという回答は129と半数を超えた。
その一方で、「今年は実施する」は118、「検討中」は38と、復活する意向が強いことを示している。
開催するにあたっての課題として、「子どもが少ない」(99)「担当者不足」(92)の上位に続いて、「引き継ぎができていない」と3年間のブランクの影響を示す回答も38あった。
「どのようなことを求めるか」との設問には、「地蔵盆のノウハウ」(47)よりも、「新しいやり方を知りたい」(125)との回答が大きく上回り最多を占めた。
意見や感想では、「町内の人と人とがつながる場、なんとか未来に残したい」という思いのほか「学生に協力してもらえたら、持続可能な伝統行事にできるのではないだろうか」と提案もあった。
会場でのアンケートの配布や回答の依頼には、実行委メンバーとして京都でボランティア活動に携わる大学生も加わった。その経験を通じて「学生の吹奏楽部や軽音楽部の演奏やダンスなどを取り入れる」と幅広い世代が楽しめる具体案も実行委に提案している。
実行委は「行事開催に必要な『モノ』よりも、楽しみなど『コト・新しい形』を望む来場者が半数以上だった」としている。
実行委代表の熊本盛行さん(60)は、中京区で玩具店を営んでいる。自身の幼年期には近所の大人が企画した縁日形式の地蔵盆を楽しんだ思い出がある。現在の業務を通じて町内会や自治会関係者と接する中で、少子高齢化や近所付き合いの希薄化など環境変化を痛感しているという。
熊本さんは従来通りの地蔵盆にとらわれずに「地域住民が集うコミュニティーの場をつくっていくことはますます必要だ」と話す。そのうえで「学生ボランティアの感想や提案は、新しい形を模索していく上で今後も大きな力になる」と期待を寄せている。
京都の地蔵盆・夏祭りの体験イベント
8月26・27日正午~午後6時、京都市中京区のゼスト御池地下街で催す。縁日イベントや遊具コーナー、子どもによるダンス・音楽のステージイベントのほか、数珠回し、盆踊りなどの体験コーナーも予定されている。