ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

乳幼児預かり昼夜養育

2020.11.02

  • ふくしナウ

乳児院

約20人の子どもたちが生活する峰山乳児院(京丹後市峰山町)=提供写真

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 乳児院は児童福祉法第7条・第37条に規定された児童福祉施設の一つで、なんらかの事情があって家庭において養育できない乳幼児をお預かりし、昼夜を通して養育しています。乳児院は新生児だけでなく、小学就学前の乳幼児が利用しています。基本的には、児童相談所に相談していただく必要があります。全国に144か所(10月現在)あり、約3000人の乳幼児が生活しています。

 乳児院は、人生のスタートとなる乳幼児期にかかわる施設です。お預かりする理由は、虐待40%、保護者の疾病20%、経済的困難7%、離婚別居などさまざまです。近年は虐待と保護者の精神疾患による、養育困難でのお預かりが増えています。また、さまざまな疾病をもった病虚弱児や障害児も多く受け入れています。専門性の高い医療的ケアや心理的ケアを提供できることも乳児院の強みです。児童相談所・行政機関・医療機関との連携や協働により総合的なサポートを行っています。

 一時的にお預かりした子どもたちの行き先は、約半数が家庭、2割近くが里親家庭、他は児童養護施設などの施設となっています。その際にも家庭であれば面会・外出・外泊、里親家庭であればマッチング、施設であれば事前交流など、次の養育者に『子どもの育ち』のバトンを『つなぐ』ことを常に意識した取り組みを行っています。

 子どもの養育を担う看護師、保育士、児童指導員、栄養士、調理師、心理士などや、保護者を支援し関係機関との調整を行う家庭支援専門相談員(SW)、里親支援を専門に行う里親支援専門相談員という専門スタッフが日常的に協働して養育を行います。

 近年は本来の「乳幼児の養育」に加えて、社会情勢などの変化に合わせて、家族への支援、病虚弱児や障害児の専門的養育と医療機関連携、被虐待児へのケア、里親とのパートナーシップ形成、地域子育て支援への参画、一時保護機能の充実、予防からアフターケアまでのサポートなど、子どものみでなくその家族が地域で幸せに過ごしていくための支援を担い、未来を見据えて専門性を高めてきました。今後、培ってきた専門的機能をさらに高め、より地域に根ざした『乳幼児総合支援センター』としての役割を果たすことを目指していきます。

社会福祉法人みねやま福祉会理事長 櫛田匠)