ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

日常生きる力 育むケア

2021.02.01

  • ふくしナウ

児童心理治療施設

るんびに学園内で講話を聞く子どもたち(綾部市十倉中町)=提供写真

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 児童心理治療施設は今年1月20日現在、全国に53施設あり、近畿地方で12施設、京都、滋賀では3施設あります。

 歴史としては、戦後非行の第2のピークといわれる1960年代に年少の軽度非行児のための施設として「情緒障害児短期治療施設」の名称でつくられました。その後、入所児童は時代を反映し、70年代は登校拒否、家庭内暴力が多く、80年代は発達障害、被虐待児童が増加、2000年代はこの傾向が顕著となり、現在は、愛着障害、自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)などが多くを占め、薬物治療を併用している児童も多くいます。

 施設名称は17年に現在の児童心理治療施設と改められ、児童福祉法に「心理的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を中心に、学校教育との緊密な連携による総合的な治療・支援を行う施設」と定められました。

 入所するには児童相談所の決定が必要(措置入所)で、退所時も同様です。入所だけでなく、通所指導を行っている施設もあります。保護者には世帯の所得に応じた負担があります。対象児童年齢はおおむね就学年齢から18歳までです(20歳まで延長可能)。施設在籍期間は全国平均で2年半から3年となっています。

 るんびに学園は、全国で23番目の施設として03年に綾部市で誕生しました。現在、小中学生22人が入所しています。

 支援の3本柱として、(1)生活支援(2)教育支援(3)医学心理支援?があります。

 生活支援は、朝起きてから翌朝起きるまでのケアで、児童指導員と保育士が共に行動しながら子どもの安心、安全感を確保することで生きる力をつけていきます。教育支援は、綾部市立東綾小・中学校の分教室が敷地内にあり、子どもの特性に応じた特別支援教育が行われています。現在は小学生3クラス、中学生2クラスで、9人の先生が教育に携わっておられます。医学・心理支援は、主に医師、看護師、セラピストが週1回程度、全員に心理治療を行います。他部門との連携が多い部門です。

 児童心理治療施設は比較的新しい施設ですが、複雑多様化した現代の世相の影響を最も受けている子どもたちの蘇(よみがえ)りの場といえるでしょう。

(社会福祉法人るんびに苑るんびに学園施設長 高橋正記)