ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

盲ろう者に不可欠

2021.03.01

  • ふくしナウ

触手話

昨年7月から11月まで実施された京都市盲ろう者向け通訳・介助員養成講座で触手話を学ぶ受講者ら(京都市中京区・市聴覚言語障害センター)=提供写真

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 「触手話」をご存じですか? 文字通り、聴覚と視覚に障害のある人が、手話を使う相手の手指を直接触りながら読み取る方法です。

 手話は「見る言葉」であり、手指で読み取る盲ろう者にとっては「触る言葉」でもあります。点字や手のひらに書く手書き文字などのさまざまな手段に加え、多くの情報を伝えあうことができる触手話も重要なコミュニケーション手段の一つです。

 盲ろう者には大きく二つのタイプがあります。成育歴の中で聴覚に障害があり後で視覚の障害を併せもつことになった人とその逆の人です。したがって、そのコミュニケーション方法は、「盲ろう者」という言葉でひとくくりにできません。障害の程度に応じても多種多様です。

 盲ろう者は、日常の移動先での通訳を行う盲ろう者向け通訳・介助員を介して、意思疎通や意思表明を行っています。社会参加と自立を図るために、通訳・介助員の存在が不可欠です。

 通訳・介助員は、視覚障害などの知識を深める講義や移動介助の技術などを学ぶ、盲ろう者向け通訳・介助員養成講座を修了しなければなりません。

 障害者総合支援法の地域生活支援事業に基づく各地方自治体の盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業では、京都聴覚言語障害者福祉協会が、京都府と京都市から事業委託を受け、盲ろう者から依頼を受けて無料で通訳・介助員を派遣します。2019年では、年間1484件延べ1968人を派遣しました。買い物、病院、散髪店などの日常生活や旅行、社会的活動と長時間の手引き介助を行うこともあります。京都聴覚言語障害者福祉協会は、盲ろう者の日常生活の状況を把握し、適切な支援のできる通訳・介助員の派遣調整を行います。

 21年度に通訳・介助員として活動の意思表明した人は262人です。その中には聴覚障害当事者や手話通訳者資格保持者、日常会話レベルの手話を取得している人がいます。しかし、人数が足りません。特に、長時間の移動介助の際は、盲ろう者を安全に誘導するため、通訳・介助員の心身の負担軽減するための複数人の派遣が必要です。

 単に言葉のやりとりや歩行の移動介助さえすればよいのではなく、盲ろう者が必要とする情報をそれぞれの状況に応じて伝え、盲ろう者が安心して周りと共同の社会的空間を共有できるように支援することが通訳・介助員の役割です。是非、ご関心のある方は当協会のホームページをご覧ください。

京都聴覚言語障害者福祉協会