2021.11.02
2021.11.02
認知症対応型共同生活介護
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
認知症対応型共同生活介護(以下グループホーム)は、認知症の高齢者が5~9人で共同生活をしながら食事や入浴など24時間体制の介護を受けることができる施設です。介護保険制度における地域密着型サービスの一つで、認知症高齢者であってもできる限り住み慣れた地域で暮らせるように、施設や地域のサポートを受けながら生活できる点が特徴です。
入所できるのは、要支援2もしくは要介護1~5の認定を受けている人で、要支援1の人は利用することができません。
徘徊(はいかい)や興奮といわれる認知症が原因で起こる周辺症状は、人が常に行き交う慌ただしい雰囲気や落ち着かない空間といった環境により引き起こされるといわれています。グループホームは少人数での落ち着いた生活空間で過ごすため、ほかの利用者となじみの関係ができやすかったり、スタッフが常に顔の見えるところにいたりするので、安心感に包まれた穏やかな雰囲気で生活することができます。
介護にあたるスタッフは、利用者の日常生活すべてをサポートするのではなく、認知症があっても高齢者の「できる力」を積極的に活用することを大事にしています。スタッフと一緒に献立を考えたり、家事やレクリエーションを楽しみながら、利用者それぞれの役割を大切にすることは、認知症介護の基本であり、さらに人としての尊厳を守ることにつながっています。また、地域住民との餅つきや夏祭りなど行事や交流を行うことで、町内や知人とのつながりが入居したことで途切れないようにすることも地域密着型サービスの使命といえます。
コロナ禍において、今もなお家族との面会でさえ制限している施設があります。そんな中、多くの施設では、感染対策を徹底しながら家族とのリモート面会、SNSを使った情報発信など今までのつながりが途切れない努力を続けています。
京都府内にグループホームは約240施設あります。利用料は要介護3で1割負担の場合、介護サービス費と日常生活費あわせて、ひと月17万円程度で、介護サービス費は介護度が上がるにつれて高くなります。全室個室ですが、施設によっては入居一時金やその他実費が必要な場合や、待機者があってすぐに利用できないこともありますので、施設に問い合わせるなど情報を集めることが肝要です。
地域密着型で、住み慣れた地域での新しい暮らし方を創造しているグループホームに、ぜひご興味を持っていただければと思います。
(社会福祉法人大樹会やすらぎ在宅部統括部長 柴田崇晴)