ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

お菓子選びに配慮必要

2022.03.07

  • ふくしナウ

食物アレルギーの子ども支援

アレルギーに配慮したイベントで、おやつを楽しむ子どもたち(2020年10月、京都市中京区)=提供写真

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 「食物アレルギー」という言葉自体は、昔に比べ随分と社会的に知られるようになりました。家族や友人、近所に食物アレルギーの子どもがいる方も多いのではないでしょうか?

 昨今は治療ガイドラインもでき、保育園や学校などの保育・教育の場での対応も改善されてきています。企業による商品開発や原材料表示の改良も伴って、食物アレルギーに配慮された商品は身近なお店で購入できるなど、食物アレルギーを取り巻く環境は変化しました。

 しかしながら、地域における食物アレルギーへの配慮はまだ難しいものと捉えられており、飲食を伴う地域の行事(地蔵盆、クリスマス会など)には食物アレルギーの子どもは参加しづらい現状があります。

 地域の行事は子どもが楽しむだけでなく、自分の住む地域の伝統に触れたり、その家庭が地域の人々とつながる重要な役割を担っています。核家族や大型マンション住まい、転入者の多い地域では特に地域とのつながりが希薄になる傾向があり、食物アレルギーがあることで、地域の行事に参加しづらい子どものいる家庭は、ますます地域との接点を持つ機会を失い、孤立しがちになります。

 私たちFaSoLabo(ふぁそらぼ)京都は、食物アレルギーの子どもとその保護者の生活の質の向上を目指し、食物アレルギーの有無に関わらず親子が集える場を運営し、食物アレルギーに配慮したイベントを開催しています。

 多くの人に知ってもらうため、身近なお店で購入できる食物アレルギーに配慮したお菓子、ケーキなどを紹介する「食物アレルギーサポートブック」を製作し、配布しています。例えば、地蔵盆で配布するお菓子をアレルギーに配慮したお菓子に変えれば、一緒に食べることができ、食物アレルギーの子どもも参加できるようになります。

 また成長と共に寛解する子どもが多く、思春期以降の食物アレルギーの子どもはますます少数派となるため、当事者同士の交流の場は希少であり、支援の必要性を感じています。今年は食物アレルギーだからこそ伝えたい思いや、未来に描く夢を子ども自身が社会に向けて発信するイベントも開催予定です。

 地域での食物アレルギーへの配慮が全国に広がり、全ての子どもが自分の住んでいる地域で、心身ともに健やかに育まれることを願っています。

(認定NPO法人FaSoLabo京都)