ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

ひとり親支援、結束の時

2021.02.01

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一般社団法人京都市母子寡婦福祉連合会/会長 横内 美佐子さん

ひとり親家庭がコロナ禍を克服できるよう、きめ細かい支援を続けたいと話す横内美佐子さん(1月18日、京都市左京区下鴨北野々神町・市ひとり親家庭支援センター)

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもを抱えたひとり親たちをも直撃しています。母子世帯は非正規雇用で働く親が多く、平均年間収入は全世帯平均の半分以下といわれます。生計が苦しいところへ、仕事がなくなり収入が激減したり、雇い止めになる人も少なくありません。

 ひとり親世帯の自立、住まいと暮らしの安定を目ざす私たちにとって正念場です。会員600人の結束力と知恵を集め、行政とも連携してこの災厄を乗り越え、親子の暮らしを支え続ける決意です。

 私たち連合会は、戦争で夫を失った母親たちの互助団体として1950年に発足。変遷を経て、現在は京都市北山ふれあいセンター(左京区)内の市ひとり親家庭支援センター(愛称・ゆめあす)から業務を委託され、市内各区に配置した母子寡婦福祉会と一体で活動しています。

 母子世帯の支援は、まず住居と就労の確保ですが、お母さんを孤立させないことも重要です。仲間づくりのイベントとバス旅行などの親子レクリエーションは毎年、欠かしません。奨学金や保険などの選択で悩む時は、私たちに気軽にご相談ください。専門家を交えて話し合えば、適切な答えが見つかるはずです。

 離婚したひとり親世帯で近年、深刻なのが養育費の不払い問題です。元夫(妻)と子どもの面会交流もさまざまな問題が生じやすく、子どもを最優先に考える慎重な支援が求められます。こうした新たな課題や会員の要望を、行政や社会一般に届けるのも連合会の重要な役割です。毎年開く母子寡婦福祉研修大会などを通じ実情を広く訴えています。

 私は3人の子どもを抱え46歳で離婚。相談に行った中京区役所で調理師学校を勧められ、ゼロから免許を取り調理の仕事で家計を維持しました。連合会に参加したのは、どんな状況でも「人のために働きたい」と願うからです。多くの人に助けられ、勉強させてもらったおかげで今の私があると感謝しています。

 連合会は「ゆめあす」の指定管理事業者なので、会長になった私は「ゆめあす」のセンター長も務めることになりました。こちらは、父子家庭も含め実践的な支援事業を行う場です。就労支援では、ハローワークと連携した巡回相談や、年十数回の就職準備セミナーを開催。仕事のスキルアップにはパソコンセミナー、簿記入門講座、介護資格勉強会など豊富なメニューで要望に応えています。

 支援事業も時を重ねた結果、かつて受講者だったひとり親さんが社会で経験を積み、今度は立派な講師になって講座に戻って来るという、うれしい出来事も起きるようになりました。

 新しい時代に対応して連合会は2月にも「京都市ひとり親家庭福祉連合会」と改称する予定です。積年の課題である会員増と組織の若返りへ今後、SNSなどを活用した発信や会員交流などに取り組んでいくつもりです。

よこうち・みさこ
1942年、京都市生まれ。88年、ひとり親となり3人の子を育てながら調理師免許を取得。病院の主任調理師として15年務め、保険会社などでも勤務した。この間、中京区母子寡婦福祉会で活動。京都市母子寡婦福祉連合会(左京区)の副会長を経て2009年から会長。