ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

子育て応援事業

2021.05.10

  • ともに生きる

小グループや催しに助成

水玉模様を身に着けて踊る参加者ら(2020年10月4日、京都市左京区の水玉ダンスフェスティバル会場)=いずれも提供写真

 孤立しがちな子育てを支援するため、京都新聞社会福祉事業団は31日まで、小さなグループにも一律2万円を助成する「子育て仲間を応援」と、イベントなどに上限15万円を支援する「子育て事業助成」両事業の申請を受け付けている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動が制約される中、工夫して子育て活動に取り組むサークルや団体も多い。前年度に同事業団が支援した活動例を紹介すると―。

 「仲間応援」の助成を受けた「草津てるてるクラブ」は、草津市の老上まちづくりセンターを拠点に母親と幼児らが食べ物を切り口にした活動を2016年から続けてきた。野外活動が中心だったが、コロナ感染拡大を受けて20年度は「おうちごはんを応援! 地域の食べ物を使って食べよう」をテーマに掲げた。従来、畑で栽培していた地場野菜「わさびな」を各家庭で育てた。2月にわさびななどの野菜スープと豆乳ごまパンを作り、調理の様子をスマホで交換した。

 スマホやパソコン操作などの課題は残ったが、代表の大塚佐緒里さんは「小学校低学年なら自分の体験を発信できるのでは」と新たな可能性を見出したという。

 京都市右京区の「わたぼうし文庫」は室内行事を中止し、短時間滞在での貸し出しやガレージに本を並べるなどして読書を呼び掛けた。京田辺市の「京田辺子育てママ応援し隊はいはい」は、体温計や消毒液を購入して衛生管理を図り、月1回、赤ちゃんサロンなどを開催。「イベントがなくなったので、参加者は増えた」という。

スマホを使って、クッキング状況をオンラインで送受信する子どもたち(草津市)

 「事業助成」を受けた団体も、オンライン活用など工夫をこらして事業を実施した。

 毎年秋に左京区でダウン症の啓発イベントを開いてきた「At―kyotо」(上京区)は昨年10月、水玉ダンスフェスティバルを開いた。「ごちゃまぜの象徴」という水玉模様の衣服などを身に着けたダウン症や聴覚障害のある子どもや親たちがプロの演奏やダンサーとともに踊りを楽しみ、その光景をオンラインで生配信した。

 代表の武田みどりさんは「オンラインは遠方の人にも知ってもらい、普段参加できない人とのコミュニケーション手段として有効かな思う」と成果を語る一方、「子どもの発達面では集まることの効用も再認識した」と話した。

 山科区の「山科醍醐こどものひろば」は11月、赤ちゃんや幼児とお母さん向けの人形劇を15組限定で2回開催。広い地域から定員いっぱいの参加があった。近江八幡市の「ほんわかハート」は12月に参加者数を会場定員の半数に絞り、元男性保育士のひとり人形劇を上演。父子での参加もあり「母親の大変さがよくわかった」との感想を受けたという。

 大塚さんや武田さんは「オンライン開催できたのは、活動の積み重ねがあったから」としつつ、「コロナ禍だから3密回避というだけでなく、地域とか親同士、人と人とのつながりをもっと密にしていくきっかけに」と話している。

 前年度は「子育て仲間を応援」で89団体に総額178万円を、「子育て事業助成」で7事業に総額80万円を助成。本年度の募集要項と申請書は同事業団ホームページから印刷できる。