ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

コロナ終息を願い 心紡ぐ作品そろう

2021.08.09

  • 京都新聞チャリティー美術作品展
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京都新聞チャリティー美術作品展

アトリエで作品について語る清水信行氏(7月27日、京都市左京区)

「第39回京都新聞チャリティー美術作品展」(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が11日から16日まで、京都市下京区の京都高島屋で開かれる。全国の美術作家や宗教家らから寄贈を受け、1983年から毎年開かれてきたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止された。2年ぶりの開催となる今回、コロナ禍の下でのさまざまな思いや願いをこめた作品が寄せられている。

清水氏「雨上がる道」

日本画家の清水信行さん(70)=左京区=の「雨上がる道」は、緑の木々の下を疏水が流れる哲学の道に「静寂」を情緒的に描く。「コロナ禍では人流を止めるのが大事と言われるが、これからは人の心の流れを太く大事にしていかねばと思っている」と話す。

京都に生まれ育ち、四季の美や自然を味わい深く描いた風景画で知られる。同展には約30年出品しているが、「日本画家としての使命感を持ち、社会になにがしかお役に立てればと制作、出品している。写実的表現から心を写したロマンや気持ちのこもった風景画を時に力強く、時に情緒的に描いていけたら」とも語る。

筒井通子氏「ばら」

画家の観瀾斎(かんらんさい)さん(74)=兵庫県丹波市=は前鬼、後鬼を従えた役小角(えんのおづぬ)の木版画を寄せた。「コロナ禍の一刻も早い終息、疫病退散の願いを込めて、法力で鬼神をも使役したという役行者を描いてみました」と解説している。

彫刻家の木代喜司さん(81)=北区=の「夢見るピエロ」は陶オブジェ。白い粘土に黄色い釉薬(うわぐすり)を水玉に散らしてひょろりと立つピエロ。伸びやかな造形に「世間の雰囲気が暗くなる中、それを打ち破る明るい方向性をイメージして」。洋画家の筒井通子さん=奈良県葛城市=は「コロナ禍で外出もままならない今だから、ほっと安らぎを感じて」とバラの絵を。「バラの花言葉の愛とか希望、それを感じてもらいたい」と話す。

観瀾斎氏「役行者(役小角)」

中京区の新徳寺閑栖(かんせい)、山田一道さん(77)の絹本「達磨(だるま)大師像 不識」は、大師の面影を求めたインドへの旅も踏まえ、碧眼(へきがん)や裏彩色の技法を使った。コロナ禍に「誰にも何にも臆せず自らを持して日々を過ごすことの大切さを『不識』という賛で感じてもらえたら」と宗教者らしい文言を添えた。

山田一道氏「達磨大師像 不識」

同展は、洋画、日本画、陶芸、工芸、書、イラスト、写真など1000点以上が出品される。作品は入札で求めることができ、落札金を福祉事業に充てる。入場無料。午前10時から午後8時まで(入場は閉場30分前まで、最終日は午後5時閉場)。変更となる場合があり、最新の情報は同事業団、京都高島屋のホームページで。

木代喜司氏「夢見るピエロ」