2024.04.16
2024.04.16
京都新聞愛の奨学金 昨年度奨学生報告書
「京都新聞愛の奨学金」の昨年度奨学生から使途の報告や寄付者へのお礼の言葉が京都新聞社会福祉事業団に届いている。物価高騰の影響で経済的不安を抱えながらも学業継続や進学、就職への経済的な支えとなり、志望する学校に進んだ喜びや、勉学に励む大学生らの様子が伝わってきます。また多くの寄付者の応援が「心の支えになった」と感謝の気持ちや言葉をつづる文章も多い。(奨学生の所属学校等は支給時)
愛の奨学金は学費の捻出が困難な京都、滋賀在住の生徒・学生を支援するため、同事業団発足の1965年に創設。本紙「誕生日おめでとう」欄への寄付などをもとに実施し、昨年度は公募の一般、交通遺児両部で238人、公立高推薦の定時制・通信制高校生の部11人、児童養護施設高校生158人に総額3921万円を贈った。使途は、学費、通学費、参考書や教材費、資格取得のための受験料など多岐にわたる。
今春から教員となった京都の大学4年生は教育実習の交通費や採用試験関連に使用。「両親とも就労が難しく、物価上昇で経済的に厳しいなか、念願の教職につけたのも本奨学金があったからこそ」と記しつつ、「今後は社会に貢献を」と決意を述べている。
京都の私立大学で経済関係の資格を取得できた学生は、奨学金に添えられた高齢の寄付者からの励ましの言葉から得た感激を胸に、能登半島地震の際に自分も寄付をしたと書いている。同じ大学で学ぶ別の女子学生は「高校時代は昼夜アルバイトに励んだが、この奨学金で負担が軽減され学業に集中できる」としつつ、地域の公園のごみ拾いボランティアに取り組んでいると述べている。
京都の芸術系大学の学生は奨学金を作品制作の材料費に充てた。多数の完成作品の写真を報告書に添え、寄付者の言葉を読んで「自分は一人ではないと涙がこぼれた」と伝えてきた。看護師資格を目指し京都で1人暮らしの学生は、故郷で祖母の介護をしながら一人働く母親を気遣いながらも寄付者への感謝の思いから京都で医療貢献をと考えているという。
京都府内の児童養護施設で暮らす高校生は「奨学金がなかったら自分の将来について考えることさえ難しかったかも」と言い、模試や学習アプリの代金に利用し「自分に新たな可能性を感じることができました。将来、誰かの役に立てるような人に」とつづった。
看護学校に進学の決まった京都府内の高校3年生は、模試や参考書代金に充当、受験勉強中も「応援しています。頑張ってください」など寄付者の励ましのメッセージを読み、「元気をいただいた」とする。多数の寄付者の無償の善意をあらためて感じ、「能登半島地震の災害救助や支援の看護師の働きを見て、自分も看護師になり、困っている方々の役に立てる人に」との心境を吐露している。
愛の奨学金は返済不要の給付型で、大学生と専門学校生に年18万円、高校生同9万円、児童養護施設高校生に奨学激励金3万円を支給。本年度の一般、交通遺児両部への申請は5月1日まで受け付けている。募集要項、申請書は事業団ホームページに掲載している。