ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

大変さより、成長見られる魅力

2025.02.24

  • 若葉

障害福祉センターあらぐさ生活支援員/廣瀬めぐみ(ひろせ めぐみ)さん(27)

 障害のある人が創作活動などを通して豊かに過ごす、長岡京市の障害福祉センターあらぐさ。ここで働く生活支援員の廣瀬愛さん(27)は、入職5年目。生活介護と就労継続支援B型の事業がある施設で、重症心身障害者のグループを担当し、利用者それぞれの力が生かせるように支えている。「利用者さんの生き生きとした表情を見られるのがうれしい。言葉でのコミュニケーションが難しい方もいて、信頼関係を築くのに苦労することもあるけれど、笑顔に支えられています」

 障害者福祉の仕事に就いたきっかけは、妹が自閉症で知的障害があったことだった。幼い頃から家族の大変さを見てきて、障害のある人と関わる機会も多かったことから、大学進学の際、「自分の経験を生かして障害のある人や家族を支える仕事がしたい」と考えた。
 あらぐさとの出合いは、福祉の就職フェアだった。説明を聞き、「小さい事業所かな」とイメージして見学に訪れると、明るく広い施設で、若い職員が楽しそうに働いていた。「同世代の人がいて、先輩たちも優しく、働きやすそうな環境が決め手になりました」

利用者と一緒に楽器演奏を楽しむ廣瀬愛さん=左(長岡京市)

 入職時から5年間、同じグループを担当している。「重症心身障害者の方たちは、同じ障害でも妹とは全然違う。ちょっとしたことで命に関わるとても大変な仕事。最初は、自分にできるのかと不安に思っていた」。ただ、仕事が始まると、そのイメージは変わっていった。「気をつけなくてはいけないことはもちろんあるけれど、皆さんとても元気で、逆に私がパワーをもらっています」
 入ったばかりの頃は、利用者とうまく関係が築けないことも。「好きな職員さんの方ばかりに行ってしまわれて、悲しくて。けれど、好きな歌を一緒に歌ったり、楽しんで活動をしたりするうちに、どんどん心を開いてくれるようになりました」。今は、1年目には気づけなかったような、ちょっとした変化にも気づく。先輩たちから、「今日は○○さん、しんどそうにしてはるなあ」と言われても全然わからなかったのが、感じ取れるようになっている。
 「入職してわかったことの一つは、家族の願いに応えられないときもあるということです」。コロナ禍の時など、クラスターを避けるため、家族は大変だろうと思っても、家にいてもらわなくてはならなかった。これまでは家族の立場だったが、職員もジレンマを抱えていると実感したことは、大きな気づきだった。
 5年間働いて、思うことがある。「利用者さんや周りの職員など、いろいろな人と関わることで人として成長できるのが福祉の仕事の魅力」。近頃は、「若い人たちに、どうすればこの魅力が伝わるのか」と考えている。
 「実習生が来ると、利用者さんはうれしそうにされる。関心のある人は、ぜひいろんな施設を見学してほしい。職員さんや利用者さんたちと関わり、自分に合う職場と出合ってほしいです」。


(フリーライター・小坂綾子)

障害福祉センターあらぐさ

 社会福祉法人あらぐさ福祉会が運営する。「どんなに障害が重くても、乙訓でこの子を育てたい、暮らさせたい」と願う親たちが1986年に開所した「共同作業所あらぐさ」が前身。生活介護事業と就労継続支援B型事業がある。法人の事業としては、ケアホームの運営や相談支援なども展開している。075(953)9212