2025.04.07
2025.04.07
《ADHD》
ADHDは現在、注意欠如多動症と呼ばれ自閉スペクトラム症、限局性学習症などと合わせて発達障害の一つに分類されています。
症状は不注意、多動性、衝動性からなり、不注意が目立つ状態、多動・衝動性が目立つ状態、そしてこれらが混ざり合って見られる混合状態、の3状態があるとされています。
不注意症状としては、財布・携帯・書類などの失くし物・落とし物・忘れ物が多い、作業をしているときに他の事に気がそれやすく作業が締め切りまでに間に合わず、学業や仕事・家事に支障が出てしまう、などがあります。
多動性症状としては、じっとしていることが苦痛、常に体の一部を動かしている、好きなこと以外に集中しにくく無関心である、などがあります。

衝動性症状としては、思ったことをすぐに口にしてしまう、相手の話の途中で口を挟んでしまう、衝動的に物を買ってしまう、イライラしやすく激怒してしまう、などがあります。そしてこれらの症状が12歳以前から見られることが診断には必要とされています。しかし、勉強・趣味・ゲームなど常に熱中できる対象を持っていた人などは成人してからADHDに気づかれることもあります。
原因としては脳内の神経伝達物質であるドパミンとノルアドレナリンのバランスの乱れが挙げられていますが、まだ一つの仮説に過ぎません。しかし、決してその人の性格の問題ではありません。それどころかADHDの人はADHD特性から生じる周囲との摩擦などから、うつ病や不安障害、薬物依存などを合併してしまう人もいますので、ご家族や周囲の人は不注意や多動・衝動性などをやみくもに叱りつけることや、ましてや体罰などは避けたいものです。
治療としては心理教育、生活の工夫を含む環境調整、薬物療法などがありますが、家庭や職場など周囲の方がどう接してゆくべきか考え、場合によっては助言することも主治医の仕事と言えるでしょう。
受診先としては小児科・精神科・心療内科などになります。一つ注意すべきこととして幼少期の虐待を含む逆境的体験によってADHDによく似た症状をきたすことがありますので、専門医にかかることが重要なこととなります。地域の保健センターや「こころの健康増進センター」、京都市・京都府の「発達障害者支援センター」などが受診先も含めて相談に乗ってもらえますので問い合わせてみることもお勧めします。
(まるいクリニック院長 丸井規博)