ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

「声」に寄り添う約束四つ

2025.08.04

  • ふくしナウ

《チャイルドライン》

 子どもが、そっと電話をかけてくる。その声には、すぐには言葉にならない思いが込められています。

 チャイルドラインは1998年に東京で始まり、京都では2000年に活動を開始してから、今年で25年を迎えました。京都ではこれまでに約12万5千件の子どもの声に耳を傾けてきました。ここ数年は、年間4千~5千件の電話を受けています。

 「困ってる」「つらい」「イヤだ」―そんな気持ちを一人で抱えている子どもがいます。24年の子どもの自殺者数は529人と過去最多。大人の自殺が減るなか、子どもだけが増え続けています。

 チャイルドラインは、子どもの権利条約を理念に電話やチャットで18歳までの子どもの「声」を聴き、その気持ちに寄り添います。お説教抜き、押しつけ抜きで、どんなことも子どもと一緒に考えます。本気で受けとめてもらえたと感じたとき、子どもは自分自身でその課題と向き合い、乗り越えていく力を発揮します。 

 全国統計では、子どもがつながった動機は「話を聴いてほしい」が約81%、「誰かとつながっていたい」と合わせて約85%の子どもが「話し相手」を求めていると考えられます。

 受け手が電話の前に座り、「はい、チャイルドラインです」と声を出すその瞬間、ひとつのつながりが生まれます。

 私たちは、子どもと四つの約束をしています。
○ヒミツはまもるよ
○どんなことも、いっしょに考える
○名まえは言わなくていい
○切りたくなったら途中で電話やチャットを切ってもいい

チャイルドラインの啓発ポスター

 全国41都道府県で、70の実施団体が活動しています。電話(フリーダイヤル)・ネットでんわ・チャットの三つの方法で子どもの声を受けとめています。電話回線が使えない子どもからはネットでんわで、声を出すことが苦手な子どもにはチャットで。京都でもチャット導入を検討中です。8月22日~9月4日には、学校へ行きづらくなる夏休み明け前後にあわせ、全国の実施団体が一丸となり子どもがつながる体制を強化します。

 チャイルドライン京都では、子どもとつながる「心の居場所」とともに、京都市から委託を受け3歳未満の親子が安心して過ごせるリアルな場「格致つどいの広場」も運営しています。地域の中で、親子が安心していられる空間をつくりたい。声を聴き、そばにいる。子どもの権利が尊重され、子どもたちの笑顔が広がり大人も笑顔になる社会を、地域をつくるために。

 生成AIが話題となる今だからこそ、私たちは問い続けます。人と人が向き合い、声でつながることの意味を。

(チャイルドライン京都 理事長 根本賢一)