2025.08.18
2025.08.18
NPO法人「ハピネス」
京都市南区で「ハピネス子ども食堂」を運営するNPO法人の理事長、宇野明香さん(43)は2人の子育てをし、里親の経験もある。仕事で帰りの遅い親の帰宅まで夕食を待ったり、コンビニで買ったりしている子どもがいる状況を知り、「子どもらにしっかりした食事を提供し、遅くに帰って夕食を作る親の負担も減らそう」と9年前に、子ども食堂を始めた。
「子ども食堂の認知度は低く、何それっていう頃。今では地域にも親しまれてきて、企業や商店にも理解が深まり、いろんなところから野菜や食料品など多様な支援が集まるようになってきた」と宇野さん。今は食料品を少しずつ詰めた「フードパントリー」「も登録した27世帯に配れている。
7年前には、地域の人たちを含めた「居場所」と活動資金作りにという趣旨で、大規模マンション一階の集会室の一部を借りて「カフェ」をオープン。木曜以外の午前8時から午後5時まで営業している。そこを月、水、土曜の週3回、午後2時以降は休止して、夕刻に申し込み制の子ども食堂とし、交代で入るボランティアとスタッフ2人で運営している。

カフェは20席ほどのゆったりとした空間で、夏休みには子ども食堂利用者は減るが、必要としている子は一定数いる。子どもらがスマホでゲームをしたり、おしゃべりして過ごす横で、ボランティアらが調理の準備をしながら、話に耳を傾けたり様子を見たりして、接触が密になるメリットもある。学生ボランティアが勉強の手伝いをしたり、時には体験機会の提供にと、もちつき大会や遠足などに出かけることもある。
物価高騰の最近の状況を「コメも食材も高くなっている。一時期はコメも手に入らなくて。京都市内はじめ府県を越えて支援してくれる人もいて支えられている。備蓄米も申請しましたよ。200㌔㌘は手に入れました」と宇野さん。困っていた人が「助かったわ」と言ってくれた時に「やっててよかったな」と思う。これまでの活動で知り合った母子世帯の子が大きくなって、野菜を持ってきてくれたり、手伝ってくれたりする。こんな「支えあいの循環が実感できた時うれしい」と付け加えた。
宇野さんらは、子ども食堂は『子どものSOSを聞ける場』として、貧困や虐待をなくしたいと続けている。困っている子どもたちの状況に出会えば、地域の民生委員や学校にどうつなぎ、関係を保ちながらその子たちを見守っていくのかに苦慮することもある。「対症療法でしかないのでは」という思いもあり、「そうならない地域づくり、仕組み、そうならずにすむ社会を考えていきたい」とも言い、相談支援窓口活動も始めている。
「孤立した子どもを作らない社会を」とも願う。家に帰らなくなって、一時保護されるという、いわゆる社会的に問題になるようなケースにも出合い、自立援助ホーム活動をするようにもなった。「民間シェルター」としてシェアハウス的な部屋を確保し、若者の居住支援にも関わるようになっている。そこからさらに就労問題にも関わる必要も出て、NPOとしての活動はますます多様化している。
2016年に「子ども食堂」をスタート。18 年に「カフェ」をオープン。19 年、NPO法人認可。20年に「フードパントリー」を開始。22年に「シェルター」の取り組みも始める。現在は登録ボランティア約15人、スタッフ2人。京都市南区唐橋。事務局075(320)0271