2025.08.25
2025.08.25
石田 智子(いしだ・ともこ)さん
障害ある子たちの写真展巡回(25/08/25)
ダウン症候群(ダウン症)など障害のある子の成長や笑顔を親がとらえた写真展「しあわせのかたち」が、京都市左京区のロームシアター京都で開かれた。通算16回目となる2025年度の写真展は、府内各地の商業施設や地域福祉に関する事業所、イベント会場などを巡回して催される。
「トコトコの会京都」代表者の石田智子さんたちが、ロームシアターで8月中旬に催した会場に訪れる人を受付で迎えた。会がネットを通じた募集に応じた66点が並ぶ。
見ごたえがあるのは、写真そのものはもちろんだが、タイトルや説明文の背景にある「物語」だ。
例えば、公園で楽しそうにブランコ遊びする中高生世代の兄弟を何げなくとらえたように見えるカットには、「アニキ」とのタイトルが付けられている。

受付にいた兄弟の母、鈴木友香さんによると、弟の小遣い額を相談していたところ、支援学校に通う16歳の兄が自分の財布から千円札を抜いて無言で差し出したという。「4歳下の弟を思いやる年長者としての自覚に、ここまで成長した、という親としての喜びをタイトルや説明文にこめました」と話す。「育てることに時間や苦労が3倍あったとしても、成長の喜びも3倍です」
「なまけものをゲット」というタイトルの別の写真は、ゲームセンターのクレーンゲームで大きなぬいぐるみを得た表情をとらえた。働くようになった19歳男子がお金を得る大変さと同時に使う喜びが、説明文に凝縮されている。海辺の5歳女児をとらえたカットは、1年かけてアピールし続けた船旅が実現したことが説明から伝わる。毎年同じ桜の下で撮影してきた9歳女児は、幼い頃は親に抱かれていたが、満開の下でシャボン玉を楽しむまで育ったという。
支援学校高等部に通う石田さんの息子は会場の受付で絵を描きながら来場した親子に対応した。初対面の小学生が野外キャンプを楽しんだことを話すと、落ち着いた態度と表情でうなずきながらにこやかに応じていた。
石田さんによると、写真展を積み重ねてきた中で、親同士が他の子の成長を実感して喜びや苦労を分かち合う場にもなっているという。「幼かった子も成長し、新たな子も加わる。親の世代も循環している。これからも続けていきたい」と話している。
(秋元太一)
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「しあわせのかたち」の次回以降の開催予定は次の通り。
【9月9日~同18日】アル・プラザ城陽(城陽市富野)【10月2日~同15日】イオン京都洛南ショッピングセンター(京都市南区吉祥院)【10月27日~11月7日】三休カフェ(京田辺市大住)【11月22日~同30日】iスタやぎ1階コミュニティギャラリー(南丹市八木町)【12月10日~同15日】ゆめ工房(京都市上京区七本松通一条下ル)【2026年1月14日~同19日】コミュニティカフェ新大宮(京都市北区紫野)【同年5月31日】向島にっこりフェスティバル(京都市伏見区向島)