2025.09.22
2025.09.22
福祉ホーム「ハイツ竹とんぼ」ヘルパー/西嶋 壱誠(にしじま・いっせい)さん(24)
長岡京市の住宅地に、身体障害のある人たちが生活する社会福祉法人乙訓福祉会の福祉ホーム「ハイツ竹とんぼ」がある。ここでヘルパーをしている西嶋壱誠さん(24)は、入職3年目の職員だ。個室で過ごす利用者の食事や入浴、着替え、排泄などの支援をする。「介護技術はまだまだ。でも、利用者さんとコミュニケーションをとりながら自分の中でできることが増えていく感覚が、とても楽しいと感じています」
中高生の頃は漠然と、人と関わる仕事をしたいと考えていた。大学では社会学を学び、福祉業界に進むことは頭になかった。福祉の仕事が選択肢にあがってきたのは、就職活動を始めた頃だった。「働きやすい職場がいい」と考えていたところ、教員に勧められたのが、意外にも福祉の仕事だった。就職説明会に参加してみると、「休みが取りにくそう」「残業が多そう」というイメージとは違っていると感じた。
説明会で印象に残ったのは、「利用者さんとのコミュニケーションが一番大変だけど、一番やりがいを感じる」という話だった。「福祉ならではの魅力があるんだな」と思い、心ひかれた。

未経験から入り、介護技術が高くなかったため、入職してすぐの頃はとにかく自分の顔と名前を覚えてもらうよう努めた。「身体障害に加えて知的障害もある人もいて、少し身構えていたけれど、ちゃんとコミュニケーションができるし、わからないことは横についてくれる先輩に教えてもらえた」。支えがあることで、安心して仕事に取り組むことができた。
最初は利用者1人抱えるのも苦労したが、身体介護の技術は上達してきた実感がある。利用者の障害特性や、「嫌だ」と思われるポイントも分かってきた。コミュニケーションを取り、普段の会話での何気ない雑談も楽しい。「僕のいないところで、『介助が丁寧』と言ってもらったと知った時は、本当に嬉しかったです」
3年目に入り、利用者の生活パターンを覚えてしまえば仕事はそれほど難しくないと感じている。「シフト制で夜間の仕事もあるけれど、夜型なので夜勤は苦ではないですね」。また、休みが取りやすく、趣味であるアイドルグループの応援もできる環境を気に入っている。「ライブに行けて、趣味との両立ができる」。髪の色やピアスでおしゃれも自己表現で楽しみ、「似合ってるね」と言ってもらえる職場の雰囲気も魅力だ。
「友達からは『福祉の仕事はブラックなのでは』と心配されるけれど、全然そんなことはない」。法人の支援が充実し、これまでに重度訪問介護従事者と、たん吸引ができる第3号の研修を受けた。今後は、介護福祉士の資格取得も考えている。「応援してもらえて、頑張りたいと思える。きっとどこの職場でも若い人たちは貴重な存在。福祉だからと構えず、気軽に飛び込んでほしい」。後輩たちをサポートできる日を、心待ちにしている。
(フリーライター・小坂綾子)
社会福祉法人乙訓福祉会
長岡京市で、身体障害と知的障害のある人に障害福祉サービスを提供する。1978年、共同作業所からスタート。現在は、個人宅へのホームヘルプや「ハイツ竹とんぼ」など3カ所による居宅部門のほか、通所部門として、生活介護の事業所や放課後等デイサービスの事業所を運営。相談支援部門もある。075(952)0888