ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

金銭管理や生活相談

2025.10.06

  • ふくしナウ

《生活支援員》

 日常生活自立支援事業の生活支援員・水田博美さんは、月に2回、利用者・恵さん(仮名)の自宅を訪問します。恵さんには精神障害があります。金銭管理に不安があり、5年前からこの事業を利用しています。

 水田さん「お元気でしたか。電気代は無事に引き落とされましたか」

 恵さん「それが引き落とされていないんです」と通帳を開いて見せます。

 水田さん「残金が足りなかったんですね。振込用紙が届くかもしれないから保管しておいてくださいね」

利用者に付き添い銀行に行く生活支援員=提供写真

 日常生活自立支援事業は、認知症や知的・精神障害などで自分では判断することに不安のある人が、地域で安心して生活が送れるように福祉サービスの利用や日常的な金銭管理を支援する事業です。京都市内で約790人が利用しています。

 恵さんは、家計相談と銀行からの出金の同行、通帳預かりの支援を利用しています。水田さんは、収入から家賃などの支出を引いて一週間の生活費を計算し、恵さんに丁寧に説明します。「一週間の生活費はこれだけやわ。厳しいけど。工賃が入ったら家賃払いましょうね」

 銀行への往復は、安いスーパーの話題などで盛り上がります。「水田さんが明るいから元気をもらっている」という恵さん。「水田さんはお母さんのような存在。私にはなくてはならない人」と言います。

 恵さんは、以前、同居していた息子から暴力を受けたことがありました。支援の際に異変に気づいた水田さんが区社会福祉協議会の職員に報告し、支援機関が解決に向けて動き出しました
 利用者には、病気や障害だけでなく、虐待や多重債務など複合的な課題を抱える人が少なくありません。

 水田さんは「抱えているものが大きすぎる。だから生活支援員としてできる限りのことはしてあげたい」と言います。

 水田さんは生活支援員を始めて7年目。きっかけは、重度障害のある娘の子育てが一段落したことでした。現在は6人の利用者を担当しています。

 水田さん「ずっと子育てをしてきたので、私はこれからいったい何をしたらいいんだろうって思ったんです。生活支援員は、私が外に出るための一つの手段なんです」

 生活支援員は、京都市社会福祉協議会が主催する養成研修を受けて登録した地域の人たちです。特別な経験や資格は必要ありません。各区社会福祉協議会の職員が作成した支援計画に沿って支援を実施します。

 日常生活自立支援事業では、利用相談が年々増加しています。中でも、知的や精神に障害のある人の利用相談が増えており、希望する人たちに支援を届けるためにも、生活支援員の確保は重要な課題となっています。生活支援員について詳しくは、京都市社会福祉協議会自立支援部075(354)8734までお尋ねください。

(京都市社会福祉協議会自立支援部)