ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

視覚障害者 道開く後押し

2025.11.03

  • ふくしナウ

《点訳奉仕員》

 図書や資料を点字化するボランティア、「点訳奉仕員」をご存じでしょうか。

 京都ライトハウスでは約100人の方が点訳奉仕員として活動されています。また『日本の点字図書館』によると、全国の点字図書館では5761人が活動されています(2023年度)。

 点訳作業は、文章等の読み方を調べ、点訳ルールにのっとって、パソコンに点字データを入力するという作業です。点字は六つの点からなります。パソコンのキーボードで六つのキー(SDFJKL)を当てはめ、幾つかを同時に押すことで行います。

パソコンで点訳作業をする奉仕員(提供写真)

 点訳は、ご自宅で可能な仕事や家事の合間でも行いやすい活動です。定年退職されてから活動に入られて、米寿を迎えられる方とお話をしていると「調べ物は勉強になるし、認知症防止や。マイペースでできるし良いわ」と笑顔でおっしゃっていました。その点訳された図書を使って、弁護士や教員、公務員になられた視覚障害の方も大勢おられます。社会進出を後押しする、やりがいのある活動です。

 国レベルでは、2019年6月、障害の有無にかかわらず、等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現を目指して、読書バリアフリー法が成立しました。今後、点訳奉仕員の重要性は、一層増していくこととなります。

 活動の始め方ですが、例えば当館では、点訳講座(計44回、各2時間)を受講いただき、修了した方に、まずは簡易な点訳をお願いしています。そして、より高度な知識と正確な入力が必要となる貸し出し図書点訳(蔵書点訳)については、講座修了に加え、当館実施の試験の合格を条件としています。

 蔵書の点訳に携わっていただける方を増やすために、現在、当館では、より学習効果の高い講習カリキュラムの検討や、活動に即した試験方法への見直しなど、改善に努めております。

 駆け足で「点訳奉仕員」についてご紹介してきました。点字図書は全般的にまだまだ不足な状態です。視覚障害福祉に興味のある方、本や言葉が好きな方。点訳奉仕員として活動してみませんか。講習会を受けてみたいという方は、例年、3月ごろに、講習会の受講者募集を行っています。費用は資料代など実費のみです。当館のホームページなどをご確認の上、ぜひお気軽にお申し込みください。

 問い合わせは、京都ライトハウス075(462)4579

(京都ライトハウス理事 山本たろ)