2025.11.17
2025.11.17
オーシャンスマイル こども未来プロジェクト
京都新聞社会福祉事業団はこのほど、京都市内の貿易商社会長から「子どもたちのための支援事業に使ってほしい」と1億円の寄付を受け、基金を設けて本年度内に新規事業を実施することを決めた。最初の取り組みとして児童養護施設とひとり親家庭の子どもたちを支援する事業の説明会を今月2日、京都市中京区の府立総合社会福祉会館・ハートピア京都に関係者約40人を招いて開いた。
新規事業は「Ocean Smile こども未来プロジェクト」と命名。寄付者の米田多智夫さん(84)が創業した「オーシャン貿易」にちなみ、子どもたちの笑顔と未来への希望を開く願いが込められている。米田さんは昨年度も、同事業団の地域福祉や「愛の奨学金」事業などに5千万円の寄付を行っている。
新規事業の一つは京都府と滋賀県内の全児童養護施設17施設の内、辞退のあった2施設を除く15施設に7人乗りのハイブリッド車「オーシャンスマイル号」を贈呈する。ハイブリッドのため非常時には最大5日余り給電できる利点も備えている。日ごろの子どもたちの送迎のほか、災害時や野外でのレクリエーション行事の際などに活用でき、事業団では「子どもたちの安心を守る支援」とも位置付けている。
もう一つは、子どもらに夢と体験を送る事業として大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」へのバスツアー招待事業を企画。17養護施設の子どもと引率職員計930人を来年3月22日に一斉招待する。事業費は朝・昼・夕の食事・おやつ代をも提供。
そのほか、京都府・滋賀県・京都市のひとり親支援団体に登録している世帯や六つの母子生活支援施設に入所している世帯の合計1833世帯に大手回転寿司チェーン店の食事券1万円分を各家庭に配り、年末年始の利用も想定している。

説明会では同事業団の白石真古人常務理事が「この事業は、心豊かに成長するための体験機会や親子がともに笑顔になれる時間の提供、安心につながる支援を行うことを目指している。子どもたちを支えている保護者や施設職員へのエールも込めている。子どもたちと周りの大人たちを励まし、地域全体の未来を明るく照らす取り組みにしたい」とあいさつした。
米田さんも子ども時代からの人生を振り返り「真剣にものを考えていれば、人それぞれにチャンスはやってくる。信念を持ち、中途半端でなく徹底的にやることが大切」と語り、子どもたちの将来にエールを送った。
参加した関係者を代表して児童養護施設舞鶴学園の桑原位修施設長と、同じく湘南学園(大津市)の大久保和久施設長、それぞれの園の生徒が謝辞を述べた。
桑原施設長は「各施設は財政面でも工夫を凝らして活動している。プロジェクト概要を園で説明した折には、子どもらから歓声と笑顔があふれた」、大久保施設長も「新しい車の購入やレジャー費用のねん出は難しく、ありがたい」と話した。生徒らは「USJにいけるのが楽しみ」と謝辞を述べた。最後に事業団からの感謝楯(たて)を白石常務理事が米田さんに手渡した。