2025.12.16
2025.12.16
京都新聞チャリティー美術作品展
「第43回京都新聞チャリティー美術作品展」が17日から22日まで、京都市下京区の京都高島屋S.C.(百貨店)7階グランドホールで開催される。京滋の地域福祉の充実を願って1983年から開いており、43回目の開催となる。
「キーヤン」の愛称で親しまれる木村英輝さんは、アクリル絵の具を素材に躍動的な筆づかいの作品を京都の寺や公共施設などに描いてきた。この美術作品展への出品は、2022年から5回目となる。
木村さんは京都市立美術大(現市立芸術大)でデザインを学んだ後、同大学の講師時代以降はロックイベントのプロデューサーとして、京都大西部講堂など伝説的なコンサートを手がけた。
木村さんが中京区の家具店が並ぶ界わいに構えるスタジオの壁や天井は、「ロック画」ともたたえられる大胆な筆致でペインティングが施されている。「幼いころ道路いっぱいに思い切り描くのが楽しかった。今でも大作に臨むと胸が躍る」と童心を失っていない。
ミュージシャンを引き立てる役割から、画業に専念するようになったのは60歳になってからだという。まず東山区の青蓮院で60面を手がけたのをはじめ、警察・消防署の壁に10年がかりで京の四神、玄武・朱雀・白虎・青龍の「神獣」を24年に完成させている。
作品のファンは国籍問わず幅広い。東山区にある外資系ホテルのフランス人管理職から依頼を受け、バックヤードの壁に描いているそうだ。「永遠のアマチュアリズムという、プロデューサー時代から一貫して貫く原点の気持ちを失わずにいたい」と話した。

チャリティー美術作品展が始まった年から毎回作品を出品してきたのは、日本画家浜田泰介さんだ。
「ニューヨークでは、アーティストが競い合うように三つの財団へ作品を寄贈していた」。前衛的な抽象表現でモダンアートを描いていた1960年代に渡米し、美術界が社会と深く関わっていた空気を体感している。
日本画に転向したのは帰国後だという。国内各地のデパートで巡回展を重ねた。
「真言宗から依頼があったのは、大覚寺が最初だった」と回顧する。「嵯峨御所」の名で知られた門跡寺院へ92年に琵琶湖の四季を描いたのをはじめ、醍醐寺、東寺など真言宗の総大本山、さらには神社へと活動の場が広がっていく。
「大津百景」など風景画の連作シリーズを手がけ、大津市から文化特別賞を受ける。長年の題材として描き続けたのが富士山だ。2022年には「これまでの集大成」として石清水八幡宮(八幡市)の鎮座1150年の節目に「富士六景」を奉納した。
大津市比叡平に構える制作拠点の庭からは眼下に琵琶湖が広がっている。部屋には富士を描いた自作も飾られている。「京都にはよきにつけあしきにつけ新しいものが来る」。若き日の渡米経験から日本画の風景シリーズに至る画業の道のりを振り返った。
(秋元太一)

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約1000点のチャリティー美術作品展への出展作品を希望する人は、入札で求めることができる。