ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

精神障害ある人、働き社会貢献 ブックカフェ、高齢者へ配食(2026/01/12)

2026.01.12

  • 広がる 地域の輪

からしだねワークス

 京都市山科区の社会福祉法人「ミッションからしだね」が運営する就労継続支援B型事業所「からしだねワークス」は、地下1階地上3階建ての「からしだね館」を活動拠点に、ブックカフェ「トライアングル」、「CLCからしだね書店」、配食サービス「からしだね弁当」、自費出版やチラシ、冊子などのデザインから印刷・製本まで多彩な仕事を行っている。

 ワークスには精神障害のある人ら35人が登録し、法人設立と施設オープン以来約20年、山科区などを含む京都市東部エリアで障害者地域生活支援センターも運営し、就労支援と相談支援を続けている。

 「からしだね館」1階にあるカフェ「トライアングル」は、障害のある人たちの就労の場であり、一般のお客さんと自然なふれ合いを通じて障害への理解を深めてもらう交流の場でもある。

 配食は、3階の厨房(ちゅうぼう)で早朝から調理や弁当詰め作業を経て、約70人が登録している独居高齢者宅などに1日平均約40食を配っている。ワークス利用者数人が職員とペアで一軒ずつ回り、安否確認も兼ね手渡ししている。配食相手一人一人の弁当に手紙をつける。文面はワークス利用者が考え、書くのも作業の一つで、高齢者とのコミュニケーションも心掛ける。利用者は支援を受ける側であり、支援する側の側面もある。

古書を整理する利用者と職員(2025年12月10日、京都市山科区)

 コロナ禍の時には、カフェを休業するなどマイナス面もあったが、デイサービスなどに行けなくなって配食を必要とする人が増えるだろうと配慮して配食作業を主に対応した。また、コロナ禍で閉店したキリスト教系の老舗書店を「本の文化を守ろう」と引き継ぎ、「からしだね館」でブックカフェとして再始動。多様な本も並べ、今では古書も扱っている。

 主任の鍋島愛信さん(60)は「精神障害がありつつも、就労を通じて社会貢献し、仕事を介して自信と誇りを回復し、一定の経済的な自立も目指して行けるようにと願っている。地域の中で自立した生活を送れるよう支援するのがワークスの役割です」。そのため各人の特徴に応じた仕事を担当したり、分割したりして、より多くの利用者が関われるようにしている。

 法人理事長の坂岡隆司さん(71)は「20年前には精神障害に対する一般の理解の薄さを痛感していたが、この20年で偏見や誤解はありつつも社会の側も受け入れる状況になってきた。以前は医療的な配慮も濃かったが、最近では一般的な雇用も増え、社会の次のステップに行く人もいる」と言う。一方、福祉マインドが希薄になってきたと指摘、「制度的な問題もあるのでしょうが、福祉分野でも人間的尊厳よりも市場原理的な要素、経済利益的な要素が見受けられるようになってきたのは残念」とも。

 さらに「以前は統合失調症などの利用者が多かったが、最近は発達障害などの人も増え、障害の様態が多岐になってきた。社会のストレスを反映しているのかもしれません。社会全体が不寛容になり、スピードや成果を求められ、生きづらさを感じる社会になってきている。精神面で負担を感じやすい人には大変だ」と感じている。

からしだねワークス

設立は2006年6月。法人創設は05年8月。現在、利用登録者は35人、職員15人。京都市山科区勧修寺、075(574)4455。京都市東部障害者地域生活支援センター「からしだねセンター」は075(574)2800。相談受付は午前11時から午後7時まで。