ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

障害者の力集結し輝く

2026.02.16

  • わたしの現場

竹内 海作(たけうち・かいさく)さん

みんながパッピーな事業所(26/02/16)

 「関わった人たちのハッピーをつくりたい」という思いで、京都市や大津市で障害者の就労継続支援B型事業所などを運営する「カイコウ」グループ。代表を務めるのが、竹内海作さん(51)だ。企業からの内職の仕事のほか、自家焙煎(ばいせん)のドリップコーヒー、焼き菓子の商品開発など幅広く取り組み、利用者が自分の持ち味を生かせるように工夫している。

 「福祉業界には『利用者ファースト』という言葉があるけれど、うちの事業所は『みんなファースト』だと思っています。利用者だけでなく、スタッフもお客さんも、みんながハッピーを感じられる福祉を目指しています」。事業所名「カイコウ」の由来は、「皆幸」だ。

 もともとはアロマセラピーの業界で働き、福祉の事業所や施設の利用者らと出会う機会をもっていた。30代で退職し、教育関係の会社に転職。そこで、福祉部門を立ち上げることになり、障害福祉の事業所設立を担当した。

 「福祉を勉強したわけではなく、アロマの仕事で知り合った人たちに教わりながらの手探り状態。『福祉』の概念にとらわれない自分のようなタイプの人は少なかったけれど、『いいものを作れる事業所に』という思いがありました」

自家焙煎コーヒーのシーリング作業を見守る竹内海作さん(大津市)

 2016年に独立し、カイコウグループをスタート。就労継続支援B型事業所を立ち上げ、少しずつ増やしていった。

 福祉の仕事のやりがいは、「自分が関わることで、だれかの世界を広げることができる」という部分だ。現場で直接支援をしていた頃、自分でバスに乗れず、家とコンビニを往復するだけの閉じた世界で暮らしている利用者がいた。送迎する中でバスに乗れるようになり、事業所に通ううち友達ができ、外食をしたり、美容院や映画に行ったりできるようになった。

 今は、現場はスタッフに任せて統括的な仕事が中心だが、それぞれの事業所で利用者とスタッフが関わることで、それぞれの世界も広がる。その「出会いの場」をつくれていることが、喜びだ。

 最初は、「『障害者だから』この程度のもの」というイメージを超えたいと考えていた。「障害者の仕事というと、トイレ掃除などの雑用でいい、と思われる風潮もあった。障害者のそんなイメージを払拭するために、懸命に取り組みました」。目指したのは、「『障害者なのに』こんなことができるの?」と驚かれるような仕事だ。ドリップコーヒーのおしゃれなパッケージなどにこだわったのも、その思いからだ。

 だが今は、「この人たち『だからこそ』できる」という気持ちに変わってきた。「それぞれがもっている強みや個性がある。環境を整え、みんなの力をギュッと集結してダイヤモンドのように輝くことができればうれしい」と考える。

 「多くの人たちに助けられてここまで生きてきたので、社会に還元し、たくさんの人の幸せをつくりたい」。そんな思いがある。今後取り組みたいのは、伝統産業や企業とのコラボレーションによる「新しい化学反応」だ。「福祉の視点が入ることで、きっと面白いことができる」と信じている。

 (フリーライター・小坂綾子)