2026.03.17
2026.03.17
幼稚園教諭から児童養護施設保育士に/坂本 凪沙(さかもと・なぎさ)さん(26)
親と暮らせない子どもたちの暮らしを支えている京都市西京区の児童養護施設「平安徳義会養護園」に、幼稚園教諭から転身して4年目になる職員がいる。坂本凪沙さん(26)。小学生から高校生までの女子を主に担当し、暮らしを支えている。「時間を重ねるほど、その魅力がわかる仕事。子どもの感情が日々動く生活の場で支えるため、ほかにない喜びがあります」
小さい頃から幼稚園教諭に憧れ、幼児教育の短期大学に進学した。最初の実習で訪れたのが児童養護施設で、その時感じたのは、「言葉で関われる仕事が自分に合っている」ということだった。子どもたちとの関わりが忘れられず、その後保育園や幼稚園の実習を経験しても、心のどこかに残っていた。
卒業後、憧れだった幼稚園に就職したが、2年間勤めたのち、転職を決意。「念願の年長児クラスも担当できたことで、児童養護施設への気持ちが強くなっていきました」。学生時代のゼミで見学に訪れた平安徳義会の門をたたいた。

最初に感じたのは、子どもも職員も温かい施設だということだ。「不安だらけの中途採用の私に対して、職員の皆さんがとても細やかで、気にかけてくれました」。年齢が高い子どもとの関係づくりなど、難しさもあったが、職員がチームで支える体制が心強かった。
経験が少ない中で、1人で判断できないこともある。外出のルールや交流サイト(SNS)の使い方、進路や自立生活、お金のことなど、小さなことも共有し、その子の支援をみんなで考える。「このチームの力を強くしたい、このチームの一員になりたい」という思いで動いている。
縦割りのユニット制のため、幼児や小学生から高校生まで、年齢の異なる数人が一つの部屋で生活する。交代制で担当職員が複数いるため、職員がお互いにフォローし合える点は大きな魅力だ。「子どもと一対一の関係だけでなく、つなげていくことも大事にする仕事だなと思っています」
幼稚園では、家庭という土台があって毎日来てくれる子どもたちを束ねて仕切っていた。「短期間での成長が見えやすく、やりがいも感じやすかった。それに比べると施設の仕事は、日々の積み上がっていく信頼関係が、本当に大事だと思える。長く続けるほどやりがいにつながる」。同じ子どもと関わる仕事だが、全く違う感覚だ。
入所の背景や生い立ちを知ると、笑って走っている姿を見るだけでうれしくなる。「子どもたちのことを知り、関係性を重ねていきたい」という気持ちが募る。そして不思議なのは、部屋の中で落ち着かない子が1人いると、なぜかその日はみんなおとなしく、誰かがかわいいことを言ったり、アシストしてくれたりすることだ。「みんなで生活している感覚がもてるのも魅力」
子どもの将来を見据えた支援ができる保育士を目指す。「目先だけでなく、見通しをもって支えることが必要な仕事。そのために、福祉の知識だけでなく、『その子を知る』力も磨きたいですね」
(フリーライター・小坂綾子)
平安徳義会養護園
社会福祉法人平安徳義会が運営する児童養護施設。1890年、孤児院の創設によりスタート。自立した子どもの育成を理念とする。本館のほか、地域小規模児童養護施設もある。生活棟はマンションスタイルで、食事やおやつなどを一緒に作ることもある。075(331)0007