2026.04.14
2026.04.14
京都新聞愛の奨学金 昨年度奨学生が報告
「京都新聞愛の奨学金」の昨年度奨学生から使途の報告や寄付者へのお礼の言葉が京都新聞社会福祉事業団に届いている。災害被害を学ぶ学生や赤十字ボランティア活動した高校生、志望する学校に進んだ喜びや勉学に打ち込む様子が伝わり、胸を打つ。そのことを裏付けるように、人生の先輩として多くの寄付者からも熱い応援と共感の言葉がつづられている(所属学校・学年は支給時)。
愛の奨学金は学費の捻出が困難な京都、滋賀在住の生徒・学生を支援するため、同事業団発足の1965年に創設された。

本紙「誕生日おめでとう」欄への寄付などをもとに実施し、昨年度は公募の一般、交通遺児両部で218人、公立高推薦の定時制・通信制高校生の部11人、児童養護施設の高校生141人に総額3474万円を贈った。学生たちの使途は、学費、通学費、参考書や教材費、資格取得のための受験料など多岐にわたる。
すばらしい報告書が大半を占める中でも、おそらく読む人のもっとも心に残るのは、卒業論文のテーマに「南海トラフ」を選んだ大学4年男子の文面だろう。
地震発生からわずかな時間で到達する津波被害による家屋の全壊や喪失は膨大な棟数におよぶため人命を救う方法について研究した。奨学金のおかげで学業に専念できたため、ボランティア活動で能登半島地震や東日本大震災の被災地を訪れることができた。「現場での経験は、机上の研究では得られない学びを与えてくれました。自分の目で見て、声を聞き、防災に向けて自分が果たす役割を深く考えるようになりました」としたうえで「この経験を今後の人生に活(い)かし、社会に貢献できるよう努力してまいります」と決意を述べた。
医科大3年の男子学生にとって、実践的な場に進む「臨床医学」が始まり実習の負担が大きくのしかかる一方、アルバイトを続けることが困難になったという。そんな中で奨学金を活用して関東、東北、中部と各地のセミナーや病院見学、勉強会に参加し、医学会の全国総会でも発表する機会を得たという。「京都以外のさまざま地域の勉強会や学会に行く事ができ、人脈も大きく広がりました」とつづる。
「青少年赤十字部」のボランティア活動をした高校1年女子は「大人になった時、自分が支援する側になれるように、今の時間を大切にし、全力で挑戦していきます」と記した。
歯並びが悪いコンプレックスがあった高校3年女子は、歯を矯正(きょうせい)したことで笑顔でコミュニケーションできるようになった。「歯科業界に関心を持ち、携わりたいと考えるようになった」とつづる。今春から、歯科衛生士の資格が取得できる専門学校へ通い始めるという。
寄付した人からは「得た知識やスキルは何にも奪われません。自分の人生を創(つく)ってください」(47歳男性)といったメッセージや「あなたがそこにいるだけで明るい光が差し込んでくる。そんなあなたになってください」(74歳・女性)、「すべての若者が自分の進む道に希望をもって努力できる社会に!」(82歳・女性)などのエールが寄せられている。
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本年度の一般、交通遺児両部への申請は5月1日まで受け付けている。申請書は、京都新聞社会福祉事業団ホームページに掲載している。