2026.04.20
2026.04.20
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
弁護士 尾藤 廣喜
今年4月から、「子ども・子育て支援金制度」が始まり、子ども・子育て政策の強化のために、医療保険の保険料に上乗せして「支援金」が徴収されることになった。
しかし、この制度には、根本的な疑問がある。
まず、「保険料を下げる」とのかけ声で、強い反対の中、高額療養費の自己負担額上限の引き上げやOTC類似薬の保険外しなどの保険給付制限の導入が言われる一方で、保険料の上積み徴収をするというのだから、制度の運用方針自体が矛盾している。

しかも、財源を保険制度の利用に求めるということに問題がある。
保険制度は、保険料の負担割合が低所得者で高く、高額所得者で低いという逆累進になっているところに根本的な問題がある。例えば、2014年度のデータで、150万円から200万円の所得階層の社会保険負担率が16・7%と最も高く、5000万円から1億円の所得階層ではわずかに1・6%となっている。このようなシステムの下で、同じ%で新たに保険料を上積み徴収することになれば、必然的に貧困層により大きな負担を求めることになる。しかも、「国保逃れ」のために「健康保険」制度に加入した一部議員の行動が問題とされているように、国民健康保険と健康保険には、大きな負担の格差があり、これをそのままにして保険料に上積み徴収することになれば、国民健康保険に加入している人の負担が加重になるという矛盾がこれに加わることになる。
また、支援策の財源を税ではなく保険料収入に求めることになると、財源が「保険料収入」という枠がはめられ、結果的に「子ども」対策の給付内容がこの「枠」に制限されることになってしまうという欠点がある。
「子ども・子育て支援策」は、「保険」ではなく、累進制度を強化して高額所得者から税を徴収し、また、大企業優遇税制を規制し、タックスヘイブン対策を強化するなどして、税を財源として充実を図るべきなのだ。
びとう・ひろき氏
1970年京都大法学部卒。70年厚生省(当時)入省。75年京都弁護士会に弁護士登録し、生活保護訴訟をはじめ「貧困」問題について全国的な活動を行っている。