ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

人生を自分で選べる環境を/子の育ち、地域で応援(26/04/27)

2026.04.27

  • わたしの現場

和治 佐代子(わじ・さよこ)さん

 地域の人たちがゆとりをもち、安心できる環境で子どもたちが育ち合えるように─との思いで活動する団体が、高島市にある。NPO法人子育て・子育ちサポートきらきらクラブ。学童保育や居場所づくり、障害のある子の支援、自立援助ホームの運営など多角的に事業を展開する。理事長を務めるのは、和治佐代子さん(69)。

 「困難な背景があったとしても、大人が関わることでその子の人生は変わる。大人と出会う場をつくっていければ」と語る。

 活動の原点は、育った環境にある。父親は地域の困っている人に手を差し伸べ、さまざまな人が出入りする家だった。高校やその後の勤労学生時代には、複雑な背景のある人と出会い、荒れる少年たちが抱える家庭などの問題に関心をもつように。やがて、「非行少年たちの力になりたい」との思いが募り、警察官になった。

学童保育の子どもたちを見守る和治佐代子さん(14日、高島市)

 結婚ののち、専業主婦、民間企業での就労を経て、40歳で高島市の学童保育スタッフに。利用者が増える中、2007年に学童保育の事業を軸とする同法人を発足した。

 そこで感じたのは、「人としての育ちに終わりはないし、支援が必要なのは児童期だけではない。さらに、家庭丸ごとのサポートが必要なケースもある」ということだった。学童の枠に収まらない子たちの力になりたいという思いをもち、活動の幅を広げてきた。

 学童期を終えた子たちの居場所づくりや、養育困難な家庭の相談支援、ショートステイの実施など、保護者や学校、地域のニーズに合わせて取り組みを多角化。22年には、関わってきた若者の「家に居場所がない」という悩みを解消するため、自立援助ホーム「みんなとみなと」もオープンさせた。常に満室状態で、さらに2カ所目の開設準備も進めている。

 考え方のベースにあるのは、「子どもたちが人生を選べるように」ということだ。「自分で選ぶために、安心できる環境があるだけでなく、考える力や教養も身につけてほしい」。そのために、学校教員のOBによる学習支援なども取り入れ、進学のためのサポートにも知恵をしぼる。経済的困窮や親の精神疾患など厳しい家庭環境で「自分の人生は終わっている」と感じる子どもたちに、「あきらめんなや、人生はこれからや」と伝え続ける。

 「地域に多様な大人がいることで、子どもたちは自分の将来を前向きにイメージできる。そのために、私たちにできることはある」との思いから、法人の職員の採用をわざと多様にしている。スタッフの年齢は20代から70代までで、元教員や元自衛官、一流ホテル勤務経験者など幅広い。子ども時代はサポートの対象として関わっていた人たちもいる。

 「人は、自分が育ったように育てる」と実感している。だが、「育つ場」は決して家庭だけではない、というのが持論だ。「いろいろな大人との関わりがあって、私は自分の人生を自由に選ぶことができた。私がしてもらったことを、高島の子どもたちに届けたいのです。家庭だけでは難しくても、地域がつながれば、きっと子どもたちの道は広がる」。そう信じて、歩みをすすめている。

 (フリーライター・小坂綾子)