ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

社会全体で支援必要

2026.05.04

  • ふくしナウ

《医療的ケア児~就学前期~》

 近年、少子化が深刻化している一方で、新生児医療技術の進歩とともに人工呼吸器や酸素吸入、胃ろうや鼻からのチューブでの経管栄養など、医療的ケアを必要としながら日常生活を送っている「医療的ケア児」は全国で約2万1000人いると言われ、その数は年々増えています。

 2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が施行され、医療的ケア児やその家族の支援に携わる支援者は確実に増えています。また、医療的ケア児支援法では、家族の離職を防止する取り組みが義務化され、国・地方公共団体、学校や保育所の設置者の責務が明記されました。

手術のために入院している友だちに園のお散歩先の鴨川からエールを送る子どもたちと先生たち=提供写真

 NPO法人「i―care kids京都」が20年4月に開園した小規模保育園「キコレ」でも、これまで人工呼吸器装着児や酸素吸入、経管栄養による栄養摂取を必要とする子どもたちを毎年度3、4名ずつ受け入れてきました。入園時は体調が安定せずに週1回登園できるかできないかだった子どもが3年後に卒園する頃には週5日通園することができるようになったり、口から食事を摂取することを拒絶していた子どもが、食べることに丁寧に取り組んだ結果、給食を全量口から食べることができるようになり経管栄養のチューブを外すことができたりするなど、子どもたちは保育園でさまざまな刺激を受け、健常児と障がい児の垣根なく育ち合い、笑顔で卒園していきます。

 現在京都市では、11の保育園が計23名(25年4月)の医療的ケア児を受け入れています。お父さん、お母さんたちが職を失わずに、自分の仕事を続けることができるということは10年前にはあまり想像できなかった進歩です。一方で、退院後すぐに保育園に通うことを希望することで、お家での生活が整わないまま新しい生活が始まり、リハビリや療育など必要な支援が受けられないまま過ごすケースがあったり、自宅の近くに受け入れ園がなく遠方の園まで通う必要があったり、入園できても保護者が職場の制度が整っていないことから柔軟に働くことができず退職に至ることもあります。

 医療的ケア児とその家族が安心して1日1日を過ごせるようになるために、まだまだ社会全体で医療的ケア児とその家族を支える仕組みや制度が整えられていくことが必要だと感じています。

(NPO法人i―care kids京都代表理事 藤井蕗)