ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

仲間との力 出し合い笑顔に

2026.05.18

  • 若葉

就労継続支援B型事業所カラフルラット 生活指援員/浅野 空樹(あさの・そらき)さん(29)

 明るい日差しが降り注ぐ、京都市南区の就労継続支援B型事業所「カラフルラット」。朝、作業が始まる時間になり、利用者が次々集まってくる。皆がそろったところで前に立ち、「おはようございます」と朝礼のあいさつをするのが、入職2年目の浅野空樹さん(29)の日課だ。場の空気が和み、笑顔が広がる。「少し冗談を交えることもあります。みんなを楽しませるのが好きで、この仕事は自分にピッタリ」とはにかむ。

 カラフルラットでは、企業から請け負う軽作業や、下着のインターネット販売、イラスト制作など幅広い仕事に取り組んでいる。登録利用者は約40人。スタッフは9人で、浅野さんの担当は部品作りのグループだ。自身も手を動かしながら、利用者の作業をサポートしている。

 福祉とは全く違う分野から転職してきた浅野さん。最初の仕事は、京都の老舗パン屋での製造だった。その後、飲食業で調理補助などを経験し、同事業所の職員になった。

事業所のムードメーカーとなっている浅野空樹さん(京都市南区)

 ここでの仕事の原点は障害のある弟との日々にあるが、実際に福祉の仕事に関心を持ったのは、転職活動中に受けた適性検査だった。「人と関わるのが好きで、人のために何かしたい気持ちがあるとあらためて感じました。福祉の仕事が向いていると言われ、やってみようかなと思って」。紹介されたカラフルラットの見学に訪れると、利用者が作業に励む姿に心が温かくなった。自分が楽しく働く姿がイメージでき、入職を決めた。

 「前職では売り上げなどの結果が求められたけれど、それよりも、1人のお客さんとのやりとりやプロセスを重視していた。ここでは、自分の大事にしたいことを職場のみんなも大事に思っていて、居心地がいいですね」

 この仕事の面白さは、「利用者はお客様であり、一緒に働く同僚でもある」という点だ。一緒に作り上げ、ノルマを達成したときには、みんなで喜ぶ。仲間としていい仕事ができるように、力を出し合う環境が魅力だと感じている。

 お笑い芸人に憧れた少年時代もあり、楽しい話をして場を盛り上げるのが自分の役割だと感じている。一方で、一人一人に合った言葉がけやサポートの工夫を考えることを忘れない。話すのが苦手そうだった利用者が、次第に明るくなり、「浅野さんがいてくれるから」とほかのスタッフに打ち明けてくれたことなど、やりがいにつながるエピソードはいくつもある。

 最近心がけているのは、「僕(ぼく)やります」と言わないことだ。「みんなでカバーし合う職場だから、みんなをもっと頼って、と言われて驚きました。人に頼るのが苦手で抱え込みがちだったので、うれしかった」。職場の仲間に支えられていると感じている。

 今後は、介護福祉士の資格を取得し、ステップアップを目指す。「できることが増えて笑顔になっていく利用者さんを見ていると、元気になれる。自分自身の幸せも感じられる仕事ですね」

(フリーライター・小坂綾子)

カラフルラット

株式会社彩工社が運営する就労継続支援B型事業所。2018年にオープン。発達障害、知的障害、精神障害、身体障害のある人が利用する。下請け作業やパソコン作業、ネット販売など幅広い仕事に取り組む。オリジナル商品も多く手がける。京都市南区吉祥院宮ノ西町。075(874)7938