2026.05.25
2026.05.25
チェリッシュクラブ
向日が丘支援学校に通う子たちの卒業後の進路について考える保護者有志によるボランティア団体「チェリッシュクラブ」が、長岡京市に活動拠点を新たに構えたのは2022年だった。
2013年に結成以来、公民館などを借りて学習支援や余暇活動を積み重ねてきた。新拠点には、「親なき後も社会や仲間とつながりたい」という代表の大川征子さん(56)の願いが込められている。
小畑川に近い賃貸マンションに設けたクラブは、算数や英会話の学習や菓子づくりに登録メンバーが取り組んでいる。将来自炊できるように調理実習も行われる。スイーツとお茶を楽しみ、桜が満開の季節には川沿いをハイキングすることもある。
クラブの登録メンバー7人も今では成人になり、それぞれの進路先で働くようになった。

「遅咲きの彼らは伸びしろもたくさんで大きな可能性の塊(かたまり)です。生まれ育った地域の方々と交流する機会を増やし、楽しい時間を共有しながら仲間の輪を広げていきたい」と大川さんは話す。
京都府が1967年に府立で初の養護学校(当時)を長岡京市に開設以来、多くの家族が乙訓地域に移り住んだ。
卒業後の進路という課題について、地元の乙訓地域では無認可の民家だった共同作業所など数多くの組織や団体が市民や行政の支援や協力を得て、就労施設のハード面の整備や組織の法人化など困難な道を切り開いていった。これから先、切実に横たわるのが「親なき後」だ。
「大人になった彼らにとって、長い人生はまだまだこれから生まれ育った地域で生きていきます。地域の人々と交流する機会を増やしたい」。大川さんたちはそう考えて平日の日中をサロンとして開放した。
「『お茶でも』と気軽に集って、誰もがふらっと訪れる居場所の真ん中に障害のある人がいるような場を心がけました」と話す大川さんのそばには、折り紙など地域の人たちが作った作品が飾られている。
トートバッグ、ポーチなどの布製品は、祭りなどイベント会場で登録メンバーも加わって販売している。自主運営の活動を維持することに貢献している。高齢者や重度の障害のある人にパジャマや衣服を着脱しやすく改造する作業やオーダーメードのバッグ、小物にも地域住民の力に負うことは多い。「縫製ボランティアを募っています」(大川さん)
これから10年、20年先に思い描くことを取材で尋ねたら、「シェアハウス」という言葉が大川さんから返ってきた。
「一軒家かアパートで私もサービスを受け、個人のプライバシーを守りつつみんなが助け合っていく。『ごっちゃまぜ』の小さなコミュニティーです」
支援学校に通っていた子も社会人になり、クラブの拠点は活動をサポートし、喜びを分かち合うさまざまな市民が集う場になった。チェリッシュクラブが目指すことは今も変らない。当事者や関わる人の誰もが大切にされる社会だ。
(秋元太一)
チェリッシュクラブ
2013年、向日が丘支援学校に通う子どもの卒業後の進路について考える保護者有志の会として結成した。「余暇活動」「自立と学習支援」「地域のボランティア活動」を軸に活動する。クラブ名称には、英語の「慈しむ、大事にする」の意味がある。長岡京市久貝3丁目、090(3862)0374